アニメ三銃士

Column55 伝える一行!アオリ文(後)

アニメ三銃士』に関するコラム。今回は前回に続き放送当時の雰囲気を伝える「アオリ文」を紹介します

「アオリ文」とは本放送当時に新聞のテレビ欄にサブタイトルと共に掲載された一行ほどの文章です。
アニメ三銃士』のサブタイトルは「〇〇の××」のように簡潔で落ち着いた文章が大半です。しかしアオリ文はファンへ語り掛けるように、時には三点リーダー(…)や感嘆符(!)や疑問符(?)を織り交ぜて、観る者の期待を文字通り「煽って」います。そんなアオリ文の、サブタイトルには無い魅力を感じて頂ければ嬉しいです。


今回は後半の26話分(ミレディー編、鉄仮面編、ベル・イール編)を紹介します。アオリ文を読んで「どんな話なんだ?」と興味が湧いた方は、各話の紹介ページへのリンクも貼ってあるのでご一読ください。


ミレディー編(#27~#31)
#27:はじめてのデート(1988年06月03日
⇒銃士となったダルタニャンの楽しいデートが…


#28:ミレディーの復讐(1988年06月17日
⇒待ちかまえる罠に突っ込むダルタニャン


#29:ノートルダムの大鐘(1988年06月24日
⇒空を飛ぶミレディーとダルタニャン


#30:バッキンガム暗殺(1988年07月01日
⇒犯人のミレディーを追いつめるダルタニャン


#31:ミレディーの処刑(1988年07月08日
⇒あわれなミレディーの生い立ち


何と言っても第29話のアオリ文「空を飛ぶミレディーとダルタニャン」のインパクト。飛行技術など皆無だった17世紀において、人類(ルビで"ミレディーとダルタニャン")は如何にして空を飛んだのか。個人的には放送当時に最も印象に残ったアオリ文でした。
また全5話中4話分のアオリ文にダルタニャンが出てくるのも主役の面目躍如でしょう。


鉄仮面編(#32~#47)
#32:謎の鉄仮面(1988年7月22日
⇒パリの町を騒がす鉄仮面とマスクの美女


#33:女優ナナの宝石(1988年8月19日
⇒劇場の屋根裏の決闘、アラミス対鉄仮面


#34:鉄仮面を逮捕せよ(1988年8月26日
⇒記憶が戻ったコンスタンス


#35:ダルタニャンの失敗(1988年9月2日
⇒ミレディーの罠に飛び込むダルタニャン


#36:鉄仮面の挑戦(1988年9月9日
⇒銃士隊を追放されるダルタニャン


#37:名探偵ダルタニャン(1988年9月30日
⇒マンソンの秘密に迫る銃士たち


#38:消えた仕立て屋の謎(1988年10月7日
⇒ボナシューはなぜさらわれたのか


#39:二人の鉄仮面(1988年10月14日
⇒秘密の地下牢にもうひとりの鉄仮面が?


#40:すりかえられた国王(1988年10月21日
園遊会の秘密のしかけは?


#41:ミレディーの陰謀(1988年10月28日
⇒アンヌ王妃とコンスタンスが危ない!


#42:アラミスの裏切り(1988年11月11日
⇒なぜ鉄仮面の仲間に?


#43:アトス逮捕さる(1988年11月18日
⇒アラミスの銃士隊がアトスを牢に!


#44:鉄仮面は誰だ(1988年12月2日
⇒秘密の中心に迫るダルタニャン


#45:アラミスの秘密(1988年12月9日
⇒証拠のペンダントが?


#46:鉄仮面を救出せよ(1989年1月6日
⇒全員集合!シャトレの牢に


#47:炎の中のジャン(1989年1月13日
⇒急げ!ダルタニャン、風車小屋へ!


序盤は鉄仮面一味に振り回されるダルタニャンについて「罠に飛び込む」「銃士隊を追放される」と、その不遇ぶりが語られています。やがて鉄仮面による陰謀が進むにつれて「秘密にせまる」「なぜさらわれたのか」「もうひとりの鉄仮面が?」「秘密のしかけは?」など、謎と不気味さを強調しています。
そして第46話では「全員集合!」と力強い言葉。シャトレの牢にメインキャラが集結するシリーズのクライマックスですが、同時に「みんなテレビの前に集まれ!」と全ての視聴者にも呼びかけているようです。


ベル・イール編(#48~52)
#48:海上の大要塞(1989年1月20日
⇒ダルタニャンと三銃士の潜入秘密作戦


#49:とらわれの銃士たち(1989年1月27日
⇒大逆転!海上の決闘


#50:象、海を渡る(1989年2月3日
⇒大渦巻きの秘密は?


#51:アラミス断崖の決闘(1989年2月10日
⇒ダルタニャン!私が死んだら君が仇を討ってくれ!


#52:さようなら!ダルタニャン(≪≫)1989年2月17日)
⇒(なし)


第51話の「ダルタニャン!私が死んだら君が仇を討ってくれ!」はアラミスの劇中の台詞がモチーフ。アオリ文の中でも特に感情が込められていて、最後を飾るに相応しいです。そして最終話(第52話)はアオリ文なし、というよりもサブタイトルの「さようなら!ダルタニャン」自体が、最終回の見どころと製作側の想いと全ての視聴者への呼びかけを詰め込んだ「最後のアオリ文」の役割も果たしているのでしょう。


最後に個人的な裏話。
僕が今回の記事の元ネタである「アオリ文」を調べたのは20年以上も前の、まだネットなど存在しない頃でした。ふと『アニメ三銃士』の放送当時が懐かしくなり、地元の図書館で新聞の縮刷版を調べて、「アオリ文込み放送リスト」を誰に見せるでも公表するでもないのに自作していました。そのリストは一時期紛失していましたが、先日偶然にも発見できたので紹介するに至りました。
一介のファンである僕が単なる懐かしさから調べた「アオリ文」が、時を経てネットで全世界へ紹介する事ができるとは、本当に良い時代になったものです。
正直言うと記事を作成するにあたり当時の新聞の縮刷版を再度調べたかったのですが、既に地元の図書館では当時の縮刷版は撤去されていたため、残念ながら再調査はできませんでした。その点についてはご容赦ください。


(記:2022年02月06日)