アニメ三銃士

29話:ノートルダムの大鐘

■放送日:1988年6月24日 / 演出:高本宣弘 / 作画監督佐藤真人

■Story■
家屋の爆発に巻き込まれ、コンスタンスは意識不明の重傷を負う。ダルタニャンは家屋の建築をしていた大工の証言から、ミレディーが犯人だと知る。
そしてミレディーを逮捕しようとトレビル隊長に掛け合うが、証拠が無いと突っぱねられる。


一方、ミレディーは再びダルタニャンの命を狙い、魔術師の老婆に化けてボナシュー宅を訪れる。
そして、コンスタンスの治療にはノートルダム寺院の魔除けの像に生えている苔が必要であり、それを取りに行くのはコンスタンスと一緒にいたダルタニャンの役目だと告げる。
それをジャンから聞かされたダルタニャンは、ノートルダム寺院へ向う。


ノートルダムへやって来たダルタニャンは、魔除けの像へ向けて寺院の壁をよじ登る。そこへ待ち伏せていたミレディーが現れ、ダルタニャンは銃を突きつけられて追い詰められる。
その時、三銃士が駆けつけ、ポルトスがノートルダムの大鐘を鳴らす。鐘の音に驚いたミレディーの隙を突いて、ダルタニャンが銃を奪い窮地を脱する。


ミレディーは寺院の屋上からグライダーで飛び去った。そこへダルタニャンも飛びつき、二人はセーヌ川へと墜落する。
そこで待ち構えていた三銃士と共に、ダルタニャンはついにミレディーを逮捕した。


■Explanation■
ミレディー逮捕を頼まれた時のトレビルの言葉によると「銃士隊の仕事は国王の身辺警護であり、今回のように街で起きた事件は護衛隊の管轄」だという。
現代に例えるなら、護衛隊が警察で、銃士隊が要人警護の特殊部隊なのかな。僕は漠然と「銃士隊=国王直属のエリート部隊(警察兼軍隊)」で、「護衛隊=権力者の私兵」というイメージを持っていたので、ちょっと意外。


今回のミレディーの変装は占い師の老婆。眼が青く光り、殺気立つ野良犬も逃げ出すほどの不気味さは、彼女の数ある変装のレパートリーの中でも、ダントツの印象深さ。
さらにはペペを使ってコンスタンスの頭を動かし意識が回復したように見せかけ、「怪我をしたコンスタンスの身代わり」と真実味のあることを言い、ダルタニャンをノートルダム寺院へ誘き出してしまう。相変わらずの狡猾さを発揮。


そして今回の目玉はノートルダム寺院の屋根から、「こんなこともあろうかと」用意したグライダーで空を飛ぶミレディー。おそらく人類史上、初めて空を飛んだ人間ではないだろうか。
さらには、そのグライダーにダルタニャンは臆すること無く飛び付く。これぞダルタニャンの執念か。


こうしてミレディーを逮捕して、一件落着と思いきや…。


■Dialogue/Monologue■

ダルタニャン「コンスタンス、頑張ってくれ。こんなことをした奴は必ず見つけ出して、生かしておかないからな」

瀕死のコンスタンスを思い、ミレディーへの復讐を誓うダルタニャン。
その憤りは「生かしておかない」という、彼のイメージから懸け離れた言葉にも表れている。

ジャン「まじないだって、そんなもの効くもんか。おいらだって生き別れになった母ちゃんに会いたくて、何人ものまじない師に頼んでみたけど、効き目なんて全然無かったよ」

非現実的なことは一切信じようとしない。ジャンの大人びて現実的な考えは、こんな過去が影響しているのだろう。

ミレディー「泣かせるねぇ、コンスタンスのためならば、例え火の中水の中かい」

コンスタンスを救うべく、ノートルダム寺院の壁を登ったダルタニャンへ向けての言葉。
ダルタニャンの行動原理を的確に言い当て、なおかつ嘲笑う。


■Next Episode ~次回予告~■

ポルトス「ミレディーは逮捕できたし、これでコンスタンスの意識が戻れば万々歳だな」
アトス「待て待て、そう簡単にはいかんぞ」
ポルトス「何でだ」
アトス「ミレディーの後ろにはリシュリューがいるってことだ。一筋縄ではいかん」
ポルトス「うん、しぶとい女だからなぁ」
アラミス「そして、海の向こうイギリスから、悲しい知らせが」
アトス・ポルトス「なにぃ…」
アラミス「次回『アニメ三銃士』《バッキンガム暗殺》」

三銃士による予告。
能天気なポルトスと慎重なアトスの対比が印象的。そしてアラミスの口から語られ、アトスとポルトスが絶句した「悲しい知らせ」とは一体何か!…って、予告でネタバレされているけど。


■Mousquetaires Journey ~三銃士紀行~■
ノートルダム寺院(※ノートルダム大聖堂と同じだけど、今回は「~寺院」表記)の建造物や彫刻を紹介。
本編でもポルトスが鳴らした南塔の大鐘。西正面にあるバラ窓と、その左右に並ぶアダムとイブの像、下に28人ものイスラエルユダヤの王の彫像が並ぶ王のギャラリー、最後の審判の彫刻などを紹介。
ノートルダム」こと聖母崇拝は12~13世に盛大になったと語られ、「ノートルダム聖堂の尖塔は今も変わらずセーヌ川を見下ろしている」と締めくくられている。


(記:2012年9月12日/追記:2020年04月18日)