アニメ三銃士

Column31 語ろう!『アニメ三銃士』(素顔のメインキャラたち4)

『別冊アニメディア アニメ三銃士 PART1』に掲載された声優陣のインタビューを紹介する企画の第4弾。
前々回と前回はダルタニャン役の松田辰也さん、ミレディー役の平野文さん、アラミス役の山田栄子さんによる座談会を紹介しました。今回からはこのお三方以外のメインキャラのコメントを紹介します。

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今回はダルタニャンの仲間たちを演じるキャスト陣。コンスタンス役の日高のり子さん、アトス役の神谷明さん、ポルトス役の佐藤政道さん、ジャン役の田中真弓さん、ロシナンテ役&コピー役の龍田直樹さんのコメントを紹介します。

ACT3 盛りあげてます!正義も悪も 三銃士ファミリー



まずは本作のヒロインを演じる、この方から。

ダルタニャンともっと恋したい


■コンスタンス 日高のり子
コンスタンスが、王妃様のために戦う時のきりっとした姿が、他のかわい子ちゃんと違って好き。特に不満はないけれど、・・・・・・もう少しダルタニャンと恋したいなあ。
一番印象に残ってるシーンは、首飾りが戻る前に、時間をかせごうとして、舞踏会の会場でわざとらしく「キャッ!!」とかいってローソクの火を消してしまうシーン。わざとらしい「キャッ!!」も難しかったし、その後"うまくいった"という気持ちで「フン」と鼻で笑ったら、オンエアでは見事にカットされてしまいました。いい演技だと思ったのになぁ(笑)。
そういえばアフレコ中に、「レディの衣装箱をひっこき回したりして」と言ってしまい、レディのセリフらしくないゾ、と出演者の皆様からひんしゅくをかってしまったこともありました。
とにかく、コンスタンスって人格が多重だと思うんです。コロコロ変わってつかみどころがないというか何というか・・・・・・だから、私に合ってるのかなぁ?


プロフィール
昭和37年5月31日東京都生まれ。代表作は『タッチ』の南、『とんちんかん』の甘子ほか。所属/河野プロモーション。

当時の日高さんは、出世作である『タッチ』(1987年3月に放送終了)の浅倉南役を演じ終えて少し経った頃。コメント内でコンスタンスとの比較対象になっている「他のかわい子ちゃん」とは、実は南ちゃんのことだったりして。
日高さんが「いい演技」と自画自賛した鼻で笑うシーンがカットされたという話。一見すると上品で凛々しいコンスタンスらしからぬ、でも意外な一面が垣間見られるシーンだけに、観てみたかったなぁ。
そして日高さんが「人格が多重」で「コロコロ変わる」と評するコンスタンスの性格について。ダルタニャンのことを最初は年下の坊や扱いしていたのに、徐々に惹かれていったことを言ってるのかな。「もっと恋したい」という願いは、シリーズ後半は記憶を失ったり家を失ったり王妃と一緒に幽閉されたりベル・イール要塞に漂着したりと多難続きでお預けだったけど。最終回で月をバックにキスできたから満足だったかな。


お次は三銃士のリーダーを演じる、このお方。

包容力のあるキャラクターです


■アトス 神谷明
三銃士のリーダー格で、非常にキャパシティーの広い、包容力のあるキャラクターだと思っています。ただ、1話〜26話の前半のダルタニャンを中心に進行しているストーリー展開の中では、どこかでそっとサポートしていくみたいな役どころで、キャラクターの個性はまだそれほど鮮明ではありません。
アニメ三銃士』は、お話し自体がオモシロイですからね。毎回、次の台本を一週間前にもらうのですけど、とても楽しみで、見ようか見まいか悩むんですよ。できれば絵と一緒に見たいのですが、見ないと役作りができないので見ますけど。
これからもダルタニャンの精神的部分の支えになっていくような役作りをしていきたいと思っています。


プロフィール
昭和21年9月18日神奈川県生まれ。『シティーハンター』のリョウでも活躍。所属/青二プロ。

神谷さんによるアトス評は「キャパシティーが広い」。実はこれ、神谷さんが『三銃士』とほぼ同時期に演じ始めて「演じた中で一番好きなキャラクター」と公言している『シティーハンター』(1987年4月に放送開始)の主人公・冴羽リョウの魅力として挙げている点と同じだったりする。アトスもリョウも「人生経験の豊富な年長キャラ」という共通点があるので、ベテランに差し掛かっていた神谷さんにとっては演じ甲斐のあるキャラだったらしい。
シリーズ前半ではアトスの活躍ぶりが物足りなかったようだけど、後半では色々と悩むダルタニャンを励ましたり、アラミスの裏切りの真意を察したり、ロシュフォールと牢獄の中で絶妙なやりとりをしたり、様々な活躍を見せてくれたから。神谷さんも満足したかな。


続いては、キャラへの想いをストレートに語る、このお方。

ストレートでやりやすいですよ


ポルト佐藤政道
ポルトスはとてもストレートな役なんですよ。優しくって、人一倍の力持ちで、美食家だから食べものに目がなくて、思ったことをすぐ状況も考えずに言っちゃったり、状況を判断せずに思ったらすぐに行動しちゃうようなタイプ!でも、全然悪気はなくて、僕は好きですよ。それにやりやすいし、ホラ、あんまり言い含めたような言い方ってないから、そのものズバリでしょ。
ダルタニャンには自分の思ったことややりたいことを迷わずにやれるようがんばって欲しいから、そのためにも三銃士がバックアップしたいですね。三銃士って、一人一人は完全じゃないし、欠点もいっぱいあるけれど、三人で力を合わせると総合的にすべての面で優れているので、これからも力を合わせていきたいなぁ。


プロフィール
昭和36年1月8日東京都生まれ。『忍者戦士飛影』ダミアン役でデビュー。所属/大沢事務所

佐藤さんのデビュー作『〜飛影』は1985年10月放送開始だから、メインキャストの中では一番の若手になるのかな。
同じ三銃士でも秘密を抱えたアラミスや思慮深いアトスとは違って、ポルトスは直情型で食いしん坊という感情豊かなキャラ。それ故にダルタニャンとも似た物同士で、コンビで行動することも多かった。それだけに演じる佐藤さんも楽しそうだ。
あと、佐藤さん曰く三銃士は「欠点もいっぱいある」そうだけど、それってポルトスだけなのでは。ほら、短気や食い意地が元でトラブルが起こることも多かったし。


お次は「母親」ならではのコメントをしてくれた、こちらのお方。

ジャンは清涼飲料水的な立場です!!


■ジャン 田中真弓
ジャンって、原作に無い役だから、いなくてもいいんだけど、いるとホッとするような、清涼飲料水的な立場でいられるといいなって思って演ってます。物語の事件にはすごく関わる役だと、そのことを大事にしないといけないけれど、私の場合は大袈裟にやっても許してもらえる部分っていうのがあるので、いい役だな、おいしい役だなって気がします。
9話の「はだしのジャンのお母さん」では本物のお母さんかなって思ったら、全然関係ないっていう・・・がっかりしましたね、あれは。同じ幼い子供を持つ母としては、絶対にジャンとお母さんを合わせたい!ですね。


プロフィール
昭和30年1月15日東京都生まれ。『ラピュタ』のパズー、『魔神英雄伝ワタル』のワタルでおなじみ。所属/プロジェクト・レヴュー

ジャンを「いるとホッとする」と語る田中さん。ジャンは母と生き別れたというハードな設定がありつつも、劇中では良きムードメーカーとして活躍していた。田中さんが「大袈裟にやった」というのも、子供キャラならではのストレートな言動のことかな。貴族への反発心から、銃士になったダルタニャンとケンカしたり、貧民に施しをした鉄仮面に感謝したり。立場のある大人キャラでは有り得ないような驚きの行動もあったし。
そして「ジャンとお母さんを合わせたい」というのは、子供を持つ母親でもある田中さんならではのコメント。母親探しの話はシリーズ序盤に少し描かれただけだったので、田中さんも不満を感じていたのかな。
それだけに劇場版でジャンが母親と再会した時は、田中さんも演じていてさぞ嬉しかっただろうなぁ。


今回最後は一人で二人分、もとい、二匹分を演じるこの方のコメント。

コピーが女と知ってショックで・・・


ロシナンテ&コピー 龍田直樹
もともと僕は動物が大好きで、ずっと動物を飼っていたし、オウムを飼っていたこともあるんです。一人っ子だったので犬と育ったようなところもあるので、コピーやロシナンテがとても身近に感じられます。
25話の「ドーバーの嵐」で、海が荒れているのは、女が船に乗ってるからだということで、コピーが生けにえにされそうになった時、初めて、女だったと知って、ずいぶんショックを受けてしまいました。それからは、アフレコの時に内股で演ってみたんですけれど、ダメでしたね(笑)。
コピーもロシナンテも、お話中では何かと色々なことを分かった上で行動しているように見えますが、やっぱり動物だから、ぼくには分かっていないと思います。彼らが、その瞬間を生きていて最高!と思って行動しているような感じで演れればと思っているんです。


プロフィール
昭和25年9月8日和歌山県生まれ。『まいっちんぐマチコ先生』の金三先生はこの人。所属/青二プロ。

前回紹介した松田辰也さんたちの座談会で「声優界の江戸屋猫八」と評されるほど見事に動物キャラを、それも馬とオウムの「二匹役」を演じる龍田さん。演じていたキャラが実は女性ならぬ雌(メス)だったというのも、動物キャラを演じているからこその貴重な経験だ。
ロシナンテもコピーも動物キャラ故に何を考えているか分からないけど、観ている側は「ダルタニャンやジャンとはしっかり意思疎通できているはずだ」と深読みしがち。だから演じる龍田さん曰く「分かってないと思う」とは拍子抜け。いや、むしろ「分かってない」というのが動物キャラらしく演じるコツなのかも。


今回はここまで。次回はルーブル宮殿を巡るキャラを演じるキャスト陣のコメントを紹介します。