アニメ三銃士

Column25 語ろう!『アニメ三銃士』(アラミス年表編)

前回・前々回とアニメ情報誌「月刊アニメディア」1988年12月号の特集記事「気になるアラミス」より、アラミスに関する証言を紹介しました。今回は「補足資料」として、同じ出典記事に掲載された「アラミス年表」を紹介します。

djpost1987.hatenablog.com
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アニメ三銃士』は登場キャラクターの生い立ちや設定が詳しく描かれなかった作品なので、アラミスはその半生が年表として公表された作中唯一のキャラでもあります。テレビシリーズにて進行形で描かれた「現在」から、劇場版や関連書籍で断片的に描かれた「過去」、そして掲載時点では劇場版で描かれる予定だった「過去」まで交えた、限り無く「公式設定」に近い年表です。


年表の構成は「年齢」と「おもな出来事」で構成。

【0歳】
ノワージ・ル・セック村で生まれる。本名・ルネ。両親を失い、伯父の男爵のもとで育てられる。


【16歳】
落馬事故をきっかけに、フランソワと出会う。フィリップ王子の住む城で介抱される。
フランソワと恋文を交わす。
フランソワ、"ラクダ"という男に殺害される。
ノワージ・ル・セック村より失踪。

パリに現れ、トレビル家を訪ねる。剣の修業をする。


【20歳】
男性のアラミスとして銃士隊入隊。
アトス、ポルトスと共に"三銃士"と呼ばれ、パリの人気者に。


【22歳】
ダルタニャン、ジャンと出会う。
ジャンに入浴中を見られ、女であるのを知られる。<ダイヤの首飾り事件>
バッキンガム公をかくまった疑いで逮捕される。
ロンドンに向かう途中、リシュリューの罠で負傷。
ロシュフォールに火攻めにされる。<鉄仮面事件>
マンソンが"ラクダ"という男らしいと知り動揺。
マンソンの首に、フランソワに渡したペンダントを発見。
トレビル辞職のあと銃士隊長となる。
アトスとポルトスの逮捕命令。
ルイ13世救出。
マンソンとの一騎討ち。

フランソワの墓前に仇討ちを報告。
フランソワの父・ダニエル侯爵に出会い、シャトー・ダジュールに招かれる。
トレビル隊長復帰。銃士隊に戻る。


【24歳】<カリーナ殺人事件>
殺人の疑いでダルタニャン逮捕される。
太后・マリー・ド・メディシスに謁見。
銃士隊辞職。
アルプス、シャトー・ダ・ジュールへ向かう。
機密文書捜索。
スペインのスパイと対決。
ミレディーとの一騎討ち。

テレビシリーズで描かれたのは【22歳】の部分。ダルタニャンとの出会いから首飾り事件、そしてこれから描かれる鉄仮面事件のネタバレまで。劇中の出来事がアラミスの立場で記載されています。
劇場版にあたるのが回想シーンで描かれた【16歳】と【24歳】前後の仇討ち報告とカリーナ殺人事件。ここでも劇場公開まで半年近くあるにも関わらず「マリー・ド・メディシスに謁見」や「ミレディーとの一騎討ち」と、劇場版のネタバレを惜しげもなく掲載しています。


劇中で描かれなかった設定もチラホラ。「両親を失い伯父の男爵に育てられた」という点も、ひょっとしたら深い事情があったのかも。さらにはフランソワを殺された後の【17〜19歳】までの単身パリに上京してトレビルの元を訪れ、銃士隊に入隊してアトス・ポルトスと出会う流れは、『アニメ三銃士』最初期におけるダルタニャンの行動を先取りしていて興味深い。劇場版では冒頭のナレーションで簡単に語られた部分だけど、もしも劇場版が長尺(2時間程)だったら、この辺のエピソードも描かれていたのだろうか。
年表という形で極めて完結に描かれている半生からも、アラミスが歩んで来た波乱の人生が垣間見えて、ファンとしては想像力を刺激されます。


そんなアラミスの「年表」は24歳で、劇場版の完結と共に終っています。しかし、アラミスの人生はまだ終わっていません。否、フランソワの死という悲しい過去に決着を付けた、まさに今から始まると言うべきでしょう。
劇場版以降の「アラミス年表」はどうなっているのか。それは『アニメ三銃士』シリーズが事実上完結した現在となっては、知る術はありません。それは寂しい事ではありますが、即ちファンの想像に委ねられたと同じ事でもあります。


アニメ三銃士』ファンの方は機会があれば自分だけの、25歳以降の出来事が描きこまれた「アラミス年表」を想像してみてはいかがですか?