アニメ三銃士

Column18 語ろう!『アニメ三銃士』(久保田P編7)

放送当時にアニメ誌『アニメージュ』にてあらすじと共に毎月掲載されていた、久保田弘プロデューサーのコメント、否、「証言」を紹介する企画の7回目。今回でラストとなります。

いよいよ『アニメ三銃士』のTVシリーズも最終回を迎える時が来ました。
そして、カーテンコールのように劇場版『アラミスの冒険』の公開日も迫っていました。


アニメージュ・1989年3月号』より。TVシリーズの放送は最終回を残すのみとなり、劇場版の公開も翌月に控えた時期。久保田Pの言葉からは、今まさにフィナーレを迎えようとしている『アニメ三銃士』という作品への自信と意気込み、そして作品が終ってしまうことへの寂しさも感じられる「証言」となっています。

『アラミスの冒険』
アニメ三銃士』放送開始から16か月めで、とうとう第52回、最終回のオン・エアをむかえることになりました。
今月の放送は、どの回もセル枚数1万枚を越え、内容もたっぷりつまった高品質・力作がそろっています。最終回を前に、力を十分に発揮し、燃焼しつくしたいというスタッフたちの盛り上がりが、こうしたTVシリーズ空前の快挙につながりました。
50、51回にはイラスト特集。最終回の終わりには、前半のハイライト・シーンの特集といったしかけも用意してあります。
・・・…番組が終わるというのは、いつも寂しいものです・・・・・・。
でもみなさん!最終回から1年後の『アニメ三銃士』のみんなに、もういちど会えるのです。それもすぐに!
新作の劇場用映画『アラミスの冒険』が3月11日から全国一斉公開されるのです。三銃士に、ジャン、コンスタンスに、そしてダルタニャンにも、ぜひもう一度会って「さよなら」を言ってやってください。
そして『アニメ三銃士』の合言葉を、時には思い出してください。
―ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために―
サ・ヨ・ナ・ラ・ジャーン!


P.S.『アニメ三銃士』への投書は5万通を越えました。番組を支えてくださったファンのみなさん、ほんとうにありがとう!
久保田弘(PD/NHKエンタープライズ

久保田Pの言葉通り、ベル・イールの終盤は「アラミスの仇討ちが決着」「鉄仮面一味との決戦」というドラマを盛り上げるようにアクション満載で作画レベルも高い、見どころ満載のエピソードとなりました。
また最終回の終わりには「前半のハイライト・シーン」がオンエアされることも予告されていますが、かつては「各キャラのその後を描く予定で、アラミスは修道院に入る」と語ったことでファンが大騒ぎしたことを思い出させるコメント。


そしてTVシリーズの最終回以上に力を入れてアピールしているのが、劇場版『アラミスの冒険』。しかし、久保田Pはこの劇場版について「もう一度会ってさよならを言う作品」と語っているのは、正直残念。せめて「皆さんの応援次第では、再びダルタニャンたちに会えるかもしれません」と、希望を残すコメントをして欲しかったところ。
ただ、これより以前に別のアニメ情報誌である『月刊ニュータイプ』に掲載されたインタビューでは、「映画やビデオソフトの売上次第では続編も有り得る」という趣旨の発言をしていたので、結果的に実現はしなかったけど続編の考えもあった模様。
djpost1987.hatenablog.com


最後は『アニメ三銃士』のキャッチコピーである「ひとりはみんなのために〜」と、ジャンの名台詞でお別れの挨拶。さらに追伸で、投書をはじめとした様々な形で作品を支えてくれたファンへ、感謝が込められたコメントで締め括られています。


最終回が放送されたことで『アニメ三銃士』の放送情報も終了し、久保田Pの「スポークスマン」としての役割も終わりました。放送期間は16ヶ月。当Blogではそのうち、誌面が僕の手元にある12ヶ月分を紹介しました。
現在のようにアニメ作品のホームページやTwitterなど無かった時代。アニメ情報誌はスタッフがファンに向けてメッセージを送ったり、時にはファンの声を受け付ける窓口になる、ほぼ唯一の場所でした。特に今回紹介した『アニメージュ』の「TVアニメーションワールド」は、放送中の作品の最新情報や裏話が読める、ファンにとっては大変貴重なページでした。
その「TVアニメーションワールド」もインターネットが普及した現在では、役割を終えて『アニメージュ』の誌上から姿を消しています。