アニメ三銃士

Column04 証言『アニメ三銃士』〜映画化にかける情熱〜

このBlogも約半年ぶりの更新になるのか。


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STORY更新もクライマックスを目前にして滞っているワケですが…。
今回は趣向を変えて、最近入手した『アニメ三銃士』放送当時のアニメ情報誌より、スタッフのインタビュー記事を見つけたので紹介してみる。


出典は角川書店発行の『月刊ニュータイプ』1988年12月号。『ニュータイプ』はSF系アニメ(一部特撮も含む)を主に紹介していたので、『アニメ三銃士』の記事は殆ど無かったと記憶している。
そんな中、当月の放送予定紹介ページに併設して、毎月一つの作品をフィーチャーしてスタッフインタビューを載せる『TALK-トーク-』というコーナーがあり、テレビシリーズがクライマックスかつ翌春の劇場版公開が決まった『アニメ三銃士』が珍しく(笑)紹介されることになった。


インタビュー記事のタイトルは「プロデューサー久保田弘『アニメ三銃士』〜映画化にかける情熱〜」。
そこで語られた「情熱」の内容は、以下のようなもの。

――:来年3月、松竹系で劇場公開されますね、どんなストーリーになりますか?
久保田:もともと映画には、TVシリーズにもれた話を入れる予定でした。
最初に、シリーズ52話の構成案を作った時入りきらなかった、どうしてもやりたいエピソードがあるんです。
もうひとつ、はだしのジャンの母親探しの決着がTVシリーズではつかないんです。
それに何らかの形で決着をつけたいですね。

この記事が掲載された時期は1988年11月で、併設されていた話数紹介は42〜45話。鉄仮面一味による国王すり替えが行われ、アラミスが銃士隊長になるという怒涛の展開を迎えていた頃だった。
そんな中「テレビシリーズではジャンの母親が見つからない(=劇場版で見つかる)」とネタバレをしちゃってるのがポイント。
「最初の構成案では入り切らなかった」というコメントから察するに、ジャンの母親探しはストーリー的には余り重要じゃ無かったのかも。

――:映画のタイトルが『アラミスの冒険』となっていますが、これは?
久保田:アラミス人気がとにかく高くて、そのフォローです。
もともとアラミスというキャラクターは、ダルタニャン、コンスタンス、ジャンの次ぐらいに置いていたんです。
そのまま最後まで脚本はあがっている。フィルムもそういう形でできている。ですが特番などのため放送が遅れている。
その間にアラミスに対する人気がどんどん高まってしまって。そのための『アラミスの冒険』ですね。
元来アラミスというのは、男たちの物語の中に、ひとり現代にも通じるような自立した女性を出したくて登場させたキャラクターなんです。
幸い女の子の共感を得られました。だいたい14歳〜15歳、言ってみれば一番男への対抗心がある年代というのが、アラミス人気の中心層です。

そしてインタビューの「本題」にして、劇場版の「主役」であるアラミスについて。
キャラの重要度で言えば「ダルタニャン(=主人公)、コンスタンス(=ヒロイン)、ジャン(=主人公の相棒にして、子供視聴者の分身)」の順番で、アラミスの位置付けはその次。察するに「仲間の一番手」といったところか。
しかし、いざ放送が始まるとアラミス人気が爆発して、ダントツの一番人気。これは製作者側でも予想外だったことが伺える。
とは言え、原作準拠の男性としてではなく女性キャラに、それも「現代にも通じるような女性キャラ」という意図で改変したのだから、女性ファンを狙っていたんだろうな。
久保田氏の言葉からも「成功したぞ!」という自信が垣間見られる。

――:ところで、バンダイからTVシリーズがビデオ化されていますが、今後、オリジナルの展開というのは?
久保田:今後の映画のビデオの売れ行き次第です。できればやりたいですね。
原作を忠実にビデオ化して、ヨレヨレになったダルやニャンやアラミスを出すのではなく、今回の映画のように4人が若いうちのお話をやってみたいです。
―:もしかしたら、オリジナル・ストーリーをビデオで楽しめるかも!


NHKエンタープライズ所属。東京都出身。53歳。劇場版『アニメ三銃士』に現在全力投入!

最後に、当時は誰もが気になっていたであろう続編の可能性について。「売れ行き次第」という生々しい言葉を使いつつも、前向きな考えを示していている。
他のインタビューでは劇場版について「完結」とか「しめくくり」とか「さよならを言う場所」とか、続編の可能性を遠回しに否定するような発言をしていただけに意外な感じがする。
結果的に実現しなかったのはご存じの通りだけど、劇場版の収益や、テレビシリーズを収録したビデオの売上次第では続編が実現していたのかもしれなかったのか。


そうなった場合、一体どんな物語が描かれていたんだろう。上記インタビューで語られている「どうしてもやりたいエピソード」が描かれていたかもしれない。
恐らくは原作小説(『二十年後』や『ブラジュロンヌ子爵』)とは全く違った、より独創的な『三銃士』の物語が描かれていたに違いない。
そんな幻の『続・アニメ三銃士(仮題)』を想像してみるのも、決して無駄ではないはず。


このインタビュー主であるNHK久保田弘プロデューサーは、過去には『人形劇・三国志』『おねがい!サミアどん』『へーい!ブンブー』、後には『ふしぎの海のナディア』『ヤダモン』『忍玉乱太郎』など、子供向け作品やアニメを数多く手掛けた名プロデューサー。
もちろん『アニメ三銃士』でもアニメ誌などで多くのコメントを残してきた、言わば『アニメ三銃士』のスポークスマンというべきお方。ファンなら名前を覚えておこう。


他にも『アニメ三銃士』に関するスタッフ・キャストの証言は、「本館」というべき(でも更新停止して久しい)我がホームページにて掲載してあります。
以下にリンクを張っておきますので、興味のある方はご覧になって下さい。
アニメ三銃士-Le Premier- Column04 証言『アニメ三銃士』〜スタッフ編〜
アニメ三銃士-Le Premier- Column05 証言『アニメ三銃士』〜キャスト編〜
アニメ三銃士-Le Premier- Column06 証言『アニメ三銃士』〜語ろう、アラミス〜