アニメ三銃士

Column37 語ろう!『アニメ三銃士』(スタッフルーム通信編4 -プロデューサー 金子泰夫-)

『別冊アニメディア アニメ三銃士 PART1』からの証言特集。今回はメインスタッフ陣のインタビュー記事「スタッフルーム通信」の第4弾です。

今回紹介するのはプロデューサーの金子泰夫さんのインタビュー。前回紹介した久保田弘さんがNHKのプロデューサー(肩書きは「制作」)であるのに対し、金子さんは学研側のプロデューサーを務めました。そして、同じプロデューサー故に作品に対して相通ずるアプローチが見受けられます。

●プロデューサー 金子泰夫


今回、誰でも知っている名作の『三銃士』をアニメ化するという事で、そのまま作ったのではオモシロクない、どこかひねらないと視聴者がついてこない、という考えがありました。だから、一番苦労したのはどういうスタッフを選ぶかという事でしたね。そのへんで一番最初は、キャラクターの新鮮さの追求でした。
17世紀でありながら新しい香りを残してやるのは誰がいいかと考えて、デザインのコマーシャルをかなりやられていた尾崎真吾さんのタッチがものすごく斬新なので、アニメーションのテレビシリーズは初めての方なんですが、ここは一発やってもらおうと、起用したわけなんです。その辺がこの『三銃士』のかなり大きいポイントになっています。
僕が一番好きなのは3話の「パリの三銃士」で、ダルタニャンが初めて三銃士と出会うところです。「一人はみんなのために、みんなは一人のために」このセリフを初めて言うのが、この3話です。一番スタンダードだけど、この物語全体を象徴しているんですよね。
このセリフは、この番組を企画したことの目的でもあるんだけどね。今は、テレビだファミコンだって割合一人遊びしているって言われているけれど、学校に行って聞いてみると、結局子供達っていうのはみんな友達のことばっかり言ってるんだよね。だから、この番組を見ながらいい友達を作って欲しいな。
キャラクターの中で個人的に好きなのはロシナンテ!もちろん、声優の龍田さんの力も大きいんでしょうが、人間の言葉をしゃべらなくてあれだけのインパクトがあるっていうのがいいですね。

1月16日神奈川県生まれ。児童映画等のカメラマン、プロデューサーとしての長いキャリアを経て、アニメの世界に入ったのが8年前。代表作に、『スプーンおばさん』等。

スタッフ選びの苦労話とはプロデューサーならでは。そして、キャラクターデザインに起用した尾崎真吾さんについて「かなり大きなポイント」と絶大な信頼を寄せています。尾崎さんは文中にあるようにアニメの仕事は初めてだったわけですが、それでも抜擢したのはアニメ以外の分野でプロデューサーとして活動していた金子さんならではと言えます。
なお、尾崎真吾さんのインタビューについては、後日掲載予定です。


そして好きな話としてダルタニャンと三銃士の出会いを描いた3話を挙げた流れで、「友達」について語っています。「テレビだファミコンだ〜」の部分は、今風に置き換えるなら「スマホだソシャゲだ〜」でしょうか。
アニメ三銃士』を通して友達の、そして友情の大事さを描こうという点は、前回紹介した久保田Pのインタビューにも通じます。


金子さんの他のプロデュース作品は『チックンタックン』(1984年)、『ミラクジャイアン童夢くん』(1989年)、『アニメひみつの花園』(1989年)など。また『アラミスの冒険』と同時上映された劇場アニメ『ヴイナス戦記』や、NHKを代表する長寿アニメ『忍たま乱太郎』も1〜4期(1993〜1996年)まで務め、学研が80〜90年代の手掛けた多くのアニメ作品に携わりました。