アニメ三銃士

Column40 語ろう!『アニメ三銃士』(スタッフルーム通信編7 -キャラクターデザイン 尾崎真吾-)

当Blogをご覧の『アニメ三銃士』ファンの皆々様。
2018年、あけましておめでとうございます。


さて、2018年最初の更新となる今回は、引き続き『別冊アニメディア アニメ三銃士 Part1』よりメインスタッフのインタビューを紹介します。
いよいよ大詰めとなる今回は「キャラクターデザイン」の尾崎真吾さんのインタビュー。アニメファンにはあまり馴染みの無い方なので、このインタビューも貴重なものと思われます。

尾崎さんは主にコマーシャルや子供番組のアニメーションで活躍していて、一般にイメージする「アニメ業界」とはあまり縁は無かったようです。しかし、金子泰夫プロデューサーの抜擢を受けて『アニメ三銃士』へ参加。尾崎さんにとっても初のテレビアニメの仕事ということで、新たな事にチャレンジすることの意気込みと苦労が語られています。

●キャラクターデザイン 尾崎真吾


僕はもともと、コマーシャルやイラストレーションはずっとやってるんだけど、自分のキャラがアニメ番組で動くというのは無かったので、一生に一度はやってみたいなって思ってて……。だから、もう悔いはないです(笑)。
僕が子供の頃、一番最初に手にしたマンガが『鉄仮面』だったんですよね。親戚のおばさんに2冊マンガの本を買ってもらって、1冊は覚えてないんですけどね、『鉄仮面』だけはよく覚えてるんです。だから、何かとても懐かしい思いがしました。
描く上での苦労は、いつもとまったく違う絵なので、慣れるまで苦労したことですねでも、僕はいつも色々なスタイルで描いていますから、ちょっとトレーニングすればすぐ慣れちゃいますけど。新しいキャラクターを作るのはやっぱりすごく難しいですね。キャラクターの中ではダルタニャンが一番描きやすかった、一番マンガっぽいでしょ。後のキャラは少し固くなっちゃったので、それが少し後悔といえば後悔ですね。
好きなキャラクターは、僕が描いた段階の脇役なんですよね。善人っていうのは、あんまり崩せないんです。だから、性格作りが難しいんだけど、悪役の場合は作りやすいっていうか描きやすいので、リシュリューとかは好きですね。でも、悪役でもミレディーは僕にとっては描きにくかったですね。昔、映画俳優の似顔絵を百人ぐらい必死になって描いたことがあったんですけれど、その時思ったのは、女の人の顔は非常に難しいんですね。個性が出しづらくて、みんな似ちゃう(笑)。ミレディーも、だから難しかった。


PROFILE
昭和19年7月19日山口県生まれ。"みんなのうた""ひらけポンキッキ"でのアニメーションの他、絵本も『お正月さん』等多数。ガードハローCF「近頃気になることがある」も。

尾崎さんにとってテレビアニメの仕事は「一生に一度はやってみたい」と思うほどに憧れていたとか。その作品が初めて手にしたマンガである『鉄仮面』(『三銃士』のシリーズ物と思われる)というのも縁を感じているようです。ただ、インタビューの端々に「苦労した」「難しかった」「少し後悔」と語られているように、分野が違うテレビアニメの仕事は色々と大変だった模様。
それでもダルタニャンを「一番マンガっぽくて描きやすかった」という辺り、主人公のデザインは会心の出来だという自信が感じられます。


この『別冊アニメディア』には辻初樹さんによる初期版キャラデザインと共に「尾崎版キャラデザイン」も掲載されています。しかし、尾崎さんのデザインは等身が低かったりデフォルメが強めだったり、ディズニーアニメのような雰囲気でした。正直、実際のキャラデザインとはかなり異なっていて、途中で「クリエイター」である辻さんによるリファインを経ていることが伺えます。
それでも、尾崎さんが『アニメ三銃士』におけるビジュアルイメージの源流を担っているのは、このインタビューが示す確かな事実です。


残念ながら『アニメ三銃士』以降、尾崎さんがアニメに本格的に携わることは(現時点では)ありません。しかし、尾崎さんの今なお続く長いキャリアの中でも、『アニメ三銃士』は確かな地位を築いているはずです。
尾崎さんのキャリアや作品群については、以下の公式サイトから参照できます。そして、「PROFILE」のページには輝かしいキャリアと多種多様な作品群と共に、しっかりとこの一文が記されています。
NHKアニメドラマ「アニメ三銃士」のキャラクターデザイン担当。」と。


イラストレーター 尾崎眞吾 オフィス|ビジュアルコミュニケーターの仕事場から
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