アニメ三銃士

Column03 僕と『アニメ三銃士』〜飛翔の章〜

前回の続きです
djpost1987.hatenablog.com
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時代は流れ21世紀。『アニメ三銃士』も「旧世紀のアニメ」と相成った。
しかし、新世紀を代表するツールである「インターネット」と「DVD」によって、『アニメ三銃士』も再び陽の目を見ようとしていた!



■時は世紀末
20世紀もいよいよ終わろうとしていた2000年頃、アニメ誌やアニメ関連のムック本で「20世紀を代表するアニメ」とか「21世紀に残したいアニメ」という類の特集がよくあった。しかし、そこに紹介されているのは『宇宙戦艦ヤマト』とか『機動戦士ガンダム』とか、あるいは『風の谷のナウシカ』などのジブリ作品。そして、当時はまだ放送されたばかりの『新世紀エヴァンゲリオン』など。いずれも歴史的ブームを起こし、「アニメ界を変えた」と評される作品たちだった。
そして、そんな特集の中に『アニメ三銃士』の名前は、欠片ほども出てこなかった。確かに、お世辞にも「アニメ史上に残る大ヒット作」というほどの作品でもないので、まぁ仕方ないかと思いつつ、このまま「旧世紀のアニメの一つ」として歴史の中に埋もれてしまうのかなぁと、寂しい思いもした。


■再会はインターネットで
そんな中、僕は意外なところで『アニメ三銃士』と再会した。それは「21世紀のメディア」として颯爽と現れたインターネットの中でだった。
当時の僕はパソコンを買ったばかりで、まだネット環境を持ってなかった。なので地元のNTT出張所に日参しては、インターネット体験コーナーをよく利用していた。最初に見ていたのは、テレビやラジオ、そしてアニメ作品などの、いわゆる「公式ホームページ」だった。
そんな折り、検索エンジン(確かフレッシュアイだったと思う。まだGoogleは普及していなかった)から、ふと軽い気持ちで「アニメ三銃士」と入力したところ…なんと出てきたのだ、『アニメ三銃士』を紹介しているウェブサイトが!
これは僕的に、物凄いカルチャーショックだった。それまでインターネットのホームページと言えば、作るのに特殊な技術や設備が必要で、ゆえに放送局やアニメ製作会社などのマスメディアや企業だけが開設できるものだと思っていた。それが、ある程度の機器と技術があれば一介のネットユーザーにも、そして僕のような一介のファンにも作れるモノだと知ったのだから。
じゃあ、俺も『三銃士』の紹介ページを作ろう!否、『三銃士』をリアルタイムで全話視聴し、ビデオソフトも全巻コンプリートしているからには、その知識と体験をまだ見ぬ『三銃士』ファンに伝え聞かせるべく、紹介ページを作るのは義務に他ならない!かくして自宅にネット環境を整え、独学でHTMLを学び、サーバスペースも確保して、過去に書いたストーリー紹介などを追加修正して掲載し、拙いながらも『三銃士』のサイトを開設した。
…が、このサイトには致命的な欠点があった。それは検索エンジンで引っ掛からないこと。結局、「折角サイトを作って更新しても、誰もこの存在に気づいてくれないんだろうな」ということで更新意欲も次第に低下して、1年もしないうちに放置状態となった。


■DVD化を待ちわびて
一方、インターネットと同じくらいに、21世紀になって盛り上がったムーブメントがあった。それは懐かしアニメの復刻DVD。ちょうど2000年頃から映像ソフトのメディアがLDからDVDに切り替わって、それに伴って懐かしいアニメ作品がDVD-BOXで続々と復刻されていたのだ。
となれば、『アニメ三銃士』もDVDで復活を!と期待していたのだが、コレが待てど暮らせどなかなか実現しない。そして、諦めムードが漂い出した2003年の初夏のこと。ちょくちょく覗いていた某巨大掲示板の『三銃士』スレッドで、こんな一文を発見した。それは「今、某アニメショップのフリーペーパーの発売商品リストに、『三銃士』DVD-BOXが載っている」というものだった!
早速、最寄の某アニメショップに急行して、件のフリーペーパーを入手。リリース情報の一覧表を、文字通り「眼を皿のようにして」読んでみたところ、小さな文字で、しかしハッキリと書かれていたのだ、『アニメ三銃士 DVD-BOX』の文字が!
事実を確認してから、その場で予約をした。それこそ「今この瞬間を逃がしたら、未来永劫『三銃士』のDVDは手に入らない、否、今確認したばかりのDVD化という事実さえ、夢幻の如く消え去ってしまうのではないか!」という気持ちだった。今振り返っても、随分と舞い上がっていたなぁ。
そして迎えたDVDの発売日。いざ商品を見てみると、ジャケットは当時の版権イラスト(ビデオソフトや関連書籍に載っていたもの)の転用。ブックレットは作品概要やキャラクターの簡単な説明のみで、スタッフやキャストへのインタビューとかは載ってなかった。その点は物足りなかったけど、もはや贅沢は言うまい!復活しただけでもOKだ!
あと、DVDリリースに関連して、ちょっと嬉しかったことがあった。仕事で渋谷に行く機会があって、帰りにふとアニメイト渋谷店に寄ってみた。すると店内には『三銃士』の紹介コーナーが設置されていた。「あの名作が帰ってくる!」という看板と共に、『三銃士』の映像が流れていた。渋谷はNHKのお膝元ということもあったのかもしれないけど、「今でも『三銃士』を広めようとしている人が、業界関係者の中にもいるんだなぁ」と嬉しかったりして。


■ホームページリスタート
そして、このDVD化が切っ掛けになって、再び『アニメ三銃士』のサイトを作る決心をした。習作としてブログも始めたり、ネット上に数多とあるアニメ作品のファンページを参考にしたり。作品への思い入れや愛着が強い分、あれこれと試行錯誤しているうちに何年も経ってしまった。結局は『三銃士』の放送20周年記念日である2007年10月9日に、見切り発車のような形で公開スタート。
その後、長期更新停止にしてしまいましたが、今度は当Blogにて更新再開となりました。


■僕にとっての『アニメ三銃士
「あなたにとって『アニメ三銃士』とは何ですか?」
こんな哲学的な質問をされたら、どう答えれば良いんだろう。単純な回答だと「一番好きなアニメ作品」であり、さらに突っ込んで言えば「アニメファンになる切っ掛けとなった作品」になるのかな。
もちろん、『三銃士』の前にも後にも好きになったアニメ作品は幾つもある。中には「アニメ界を変えた!」と評される大ヒット作品もあったし、10年以上観続けた長寿作品もあったし、ストーリーや作画のハイクオリティぶりが話題となった作品もある。
でも、それらの大ヒット作品や長寿作品やハイクオリティ作品を観た後でも、やっぱり一番好きな作品は『三銃士』であり続けたし、今後もその座を譲ることは100%無いと思う。
確かに『三銃士』は大ヒット作品というワケでもなし。何年も放送された長寿作品というワケでもなし。「中世ヨーロッパを舞台にした名作文学のアニメ作品」という、わりと有り触れた作品だ。ストーリーや作画に関しても、全編通してハイクオリティとは言いがたい。
にも関わらず好きなのは、個人的な思い出や思い入れが強いから。僕は『三銃士』を放送開始前の、「6年の学習」でノベライズ版が先行連載された時からハマってる筋金入りのファンだ(それでもパイロット版『鉄仮面を追え』からのファンには負けるけど)。
それだけに、その作品が人気が出てアニメ誌などで紹介されると、まるで我が事のように嬉しかった。「『三銃士』が好きな、俺のセンスは正しかったんだ!」とか、さらには「『三銃士』は、俺が育てた作品だ!」なんて、明らかに勘違いした気分になったりして。まぁ、それだけ思い入れが強かった次第。それこそ、僕のアイデンティティの根幹を成す作品となっていた。
アニメは人並み程度に好きだったけど、テレビで(それもゴールデンタイムなど見やすい時間帯に)放送されている作品を観るだけの、受動的なアニメファンだった。それが『三銃士』が切っ掛けでアニメ情報誌を読み始め、能動的にアニメを観るようになった。そんな意味でも、僕の人生においてターニングポイントになった時期の、ターニングポイントになった作品でもあった。
結論としては、僕にとって『アニメ三銃士』とは、「我が人生のオンリー・ワンのアニメ」ってとこかな。


この項終わり