アニメ三銃士

Column02 僕と『アニメ三銃士』〜再会の章〜

前回の続きです
djpost1987.hatenablog.com


1989年初春、『アニメ三銃士』の放送は終わった。
凡百の作品だったら忘れ去られるが、良き思い出として片隅に追いやられるか。
でも『アニメ三銃士』は忘れ去ることも、片隅に追いやることもできなかった。
こうして僕の、『アニメ三銃士』の影を追いかける日々が始まった。



■再放送を待ちわびて
放送終了後も『アニメ三銃士』を楽しみたい。そんなアナタには全話収録DVD-BOXを!…なんてことは21世紀の話。
当時もVHSでソフト化されていたけど、1巻1万円以上する高級品で、学生の僕にはとても手が出ない高級品だった。そもそもビデオデッキすら持っていないので、ビデオソフトなんて全くの別世界の話だった。
ということで、頼みの綱は、いつ始まるとも分からない再放送。各放送局に点在するアニメ関連の再放送枠をチェックし続けた。「何だよN○K、いつまで『大○原の小○な家』をやってるんだよ」とか「何だよ日○テ○ビ、また『ル○ン○世』かよ!また何ヶ月も再放送枠が潰れるのかよ」とか愚痴っていたりした。


■レンタル店にて
アニメ三銃士』終了から1年ほど経った頃、我が家にもビデオデッキがやってきた。それと合わせるように、地元にもレンタルビデオ店ができた。地元の書店チェーンが併営していて、置いてあるのは大ヒットした洋画のビデオが中心だった。
そんな中、決して大きくないアニメコーナーの中に『三銃士』のビデオがあったのだ!
と言っても、全巻が揃っていたわけではなく1〜11巻までと劇場版のみ。クライマックスである12&13巻は、なぜか置いてなかった。店員に尋ねても「何で置いてないかは分からない」とか「入荷の予定はありません」とつれない返事。更に料金も今と比べると高めで、当日レンタルで450円、一泊二日では600円くらいした。
それでも、全く観られないよりは遥かに良い!というワケで、時間と小遣いに余裕がある時(主にゴールデンウィークとか、夏休みなどの長期休暇)に借りては、『三銃士』との束の間の再会を楽しんだ。
それから何年かして、その『三銃士』のビデオソフトが、いわゆる「レンタル落ち」として売りに出されていた。価格はセットで1万円と、それでも結構な値段だったが、迷わず購入を即決。しかも、家まで代金を取りに行く僅かな間でも、他の誰かに買われてしまうことが万が一にも無いよう、店員に「今すぐ代金を取ってくるので、誰にも売らないで下さい!」と念押しするほどだった。


■ビデオをコンプリート
そんな経緯で『アニメ三銃士』のビデオソフトを1〜11巻+劇場版まで入手。ここまで来たら、残りの12&13巻も入手してコンプリートしたくなるのがファンの常。今だったらネットショップで在庫調査から注文まで一発だけど、そんな文明の利器が無い当時、僕が取ったのは最もアナログな手段。手紙での問い合わせだった。
問合せ先は、ビデオソフトの販売元であるバンダイビジュアル(ちなみに発売当時はアニメ事業を始めたばかりで「バンダイ映像事業部」という名称だった)。そのバンダイビジュアルへ、在庫の有無を問い合わせる手紙を書き、もちろん返信用の封筒(自分の住所を書き、切手も貼っておく)も同封して送った。当時、手紙といえばラジオ番組へのハガキくらいしか書いたことのない僕にとって、「企業への手紙を書く」ということは一大事だった。慣れない敬語を駆使したり、「拝啓」とか「敬具」なんて難しい言葉を、意味も分からないのに書いてみたり。
とは言え、気持ち的には完全な「ダメで元々」だった。「発売から何年も経っているし、大ヒット作というわけじゃないから、とっくに在庫切れの絶版になっているだろうな」と。これでダメだったらコンプリートは諦めようという具合に。
しかし、しばらくしてバンダイビジュアルから届いた返事は「在庫はまだあるので、注文にて入手可能です」というものだった。しかも注文しやすいように、商品番号まで教えてもらったのだ。これにはもう感謝感謝。その手紙を受け取るや、地元のビデオショップにダッシュして注文。こうして、残り12&13巻を購入して『三銃士』を全話コンプリートしましたとさ。


■感想執筆
全話コンプリート記念ということで、全話イッキ観をすることに。でも、ただ観るだけでは面白くないし物足りない。そこで僕は、観ながら各話の内容やポイントなどメモを取り、当時持っていたワープロ(パソコンじゃないぞ)を使って全話ストーリー紹介を作成した。
実は当サイトに載っている『アニメ三銃士』の紹介文は、その時に書いた文章をベースにしていたりする。もちろん、執筆に当たっては再度観返して、大幅な加筆修正を加えているけど。
書いた当時は誰に見せるというわけでも、どこかに載せるわけでもない。時々自分で読み返すだけの、完全な自己満足のために書いた文章だった。それをネットで全世界に公開できる日が来るなんて、良い時代になったもんだ。


■特別な時に観る
そんなこんなで『アニメ三銃士』の影を追い続けた90年代。僕自身も中学から高校大学、そして就職して社会人へと、人生の節目や転換期を次々と迎えた。そんな時に幾度と無く『三銃士』を観返した。進学した時とか就職活動を始める時とか職場への初出勤の前夜とかは第1話を観返して、夢と希望を胸に抱いてパリへと旅立ったダルタニャンの姿に、自分を重ね合わせたりしたっけ。
今でも『アニメ三銃士』は特別な時に、例えば誕生日だったり、お盆休みや正月休みなど長期休暇の最終日に、あるいは色々と悩んだり落ち込んだりしている時に観返しては、自分を奮い立たせています。


続きはまた次回…