Column48 『アニメ三銃士』完結30周年に寄せて

さて、本日は2019年2月17日。
即ち、1989年2月17日に『アニメ三銃士』の最終回となる第52話が放送されてから、ちょうど30周年の節目を迎えました。

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毎年この時期になると、『アニメ三銃士』の最終回は放送された頃を思い出すオールドファンは、僕だけではないと思います。
最近は「平成最後の～」という表現が其処彼処で使われていますが、最終回が放送されたのは平成が始まって僅か一ヶ月余り。最終回放送の翌週である2月24日は昭和天皇の葬儀である「大喪の礼」が行われ、テレビは再び特番一色。まだまだ世間は「平成の始まり」を歓迎するよりも「昭和の終わり」を惜しみ、その残り香に静かに浸っていた頃でした。
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そんな世相も相まって、時が経った今になって『アニメ三銃士』の最終回を思い出すと、昭和の終わりも連想されて、何処かしんみりと寂しい気分になります。


では当時、30年前に『アニメ三銃士』の最終回を観終えた時の、僕の心境はどうだったか。もちろん寂しさもありました。しかし、それ以上に特番続きで放送延期続きだったことから「やっと最終回が観られた」という安堵感もありました。また第１話から約１年半という、少年期にしては長い年月に渡る視聴を１話も欠けること無くリアルタイムで「無事に完走できた」という充実感と満足感。それらが混ざり合ったとなった、まさに「好きな作品が完結した時の気持ち」としか表現しようのない心境でした。


やがて沸きあがって来たのはアニメファンなら、否、何らかの作品のファンなら誰もが抱くであろう極めてプリミティブな想い。即ち「続きが観たい」という『アニメ三銃士』の続編への期待であり、「続編があったらどんな物語だろう」という、まだ見ぬ続編へと想いを馳せることでした。
しかし、そんな続編への期待は、１年経ち２年経ち、年月が経つに従い少しずつ薄れてゆき、気がつけば限り無く小さい物になっていました。折しも『アニメ三銃士』と同時期の作品である『鎧伝サムライトルーパー』や『魔神英雄伝ワタル』が年長アニメファンからの人気や玩具売上の好調によって、ＯＡＶやアニメ２期などで続編が作られていた頃でした。
それを傍目からは羨ましいと思う反面、『アニメ三銃士』は最初から「全５２話」と決まっていて、その中でスタッフ・キャスト等の全ての関係者が力を出し切って「完結」させた。その上、カーテンコールとして劇場版も作られたのだから、まさしく完全燃焼だ。これ以上、何を望もうか、どんな続編を望もうか。否、もう満足した。そう自分を納得させて、続編への想いは心の奥に終い込みました。
それでも時折、その想いを心の奥から少し間だけ取り出して、「ぼくのかんがえたさいこうのぞくへん」を夢想することもあります。それは好きな作品の続編が作られなくても、否、続編が作られていないからこそ、その後の物語を、ダルタニャンたちの未来を、多彩かつ自由に想像することができる。考えようによっては贅沢な楽しみでもあります。


さて、『アニメ三銃士』という作品が存在したことは、どんなに時間が経とうとも、どんな事象が起ころうとも、この世から絶対に消えることのない事実です。
残念ながら『アニメ三銃士』自体の続編やリメイクは今なお作られず、今後も作られることは無いと思われます。しかし、原作であるアレクサンドル・デュマの歴史小説『三銃士』をモチーフにした作品は、その後も世界中で作られ続けています。『三銃士』という作品を親であり故郷とするなら、それらの作品は『アニメ三銃士』の「兄弟」であり「後輩」に他なりません。
そして何よりアニメファンの、否、あえてスケールを大きくした上で断言しましょう。日本人の「三銃士観」に大きな影響を与えた作品こそが『アニメ三銃士』であると。
かつて『アニメ三銃士』が始まった当時、同じ『三銃士』をモチーフにした「先輩」である『ワンワン三銃士』が話題になりました。「アラミス役の山田栄子さんが、『ワンワン～』ではアンヌ王妃役だった」というトリビアもお馴染みとなりました。
そして今でも、『三銃士』をモチーフにした海外の映画やドラマで「ひげを生やしたダンディなアラミス」が登場する度に、日本の『三銃士』ファンがユーモアとジョークで、極々稀に本気で、こう言うのが定番になっています。
「あれ、アラミスって女性じゃなかったっけ？」


『アニメ三銃士』は30年前に放送を終了しました。しかしそれは「物語」が終わったに過ぎません。
放送終了から30年経った今でもリアルタイムで観た人の、または本放送後に映像ソフト等で観た人の、あるいは観たことは無くとも伝聞や知識として聞き知った人の、それぞれの心の中で、語り合う言葉の中で、『アニメ三銃士』は終わることなく続いています。

2019年2月17日
『アニメ三銃士 Le Premier in Blog』管理人 DJポスト（id:djpost1987）