アニメ三銃士

26話:ルーブルの大舞踏会

■放送日:1988年5月27日 / 演出:湯山邦彦 / 作画監督:金子紀男

■Story■
ルーブルの舞踏会は今晩に迫っていた。サンヴァレリーの港に着いたダルタニャンは、パリまで180キロの道をロシナンテに乗って駆けていた。
そしてミレディーも、カモメを操りパリのリシュリューへ連絡し、自らもダルタニャンを追跡する。


リシュリューロシュフォールたち護衛隊を迎撃に向かわせる。
それを知った三銃士はトレビル隊長に出動を願い出る。トレビルも一度は却下するも、サンドニ門の警護を名目に、三銃士をダルタニャンの応援に向かわせる。


パリを目前にして、ダルタニャンは護衛隊の迎撃を受けて絶体絶命。
そこに三銃士が駆けつけ、ダルタニャンは窮地を脱する。そして走り疲れたロシナンテを置いて、自分の足でパリへ向けて駆け出した。


ルーブル宮殿では舞踏会の準備が着々と進んでいた。
首飾りが届かず、アンヌ王妃は絶望に暮れていた。コンスタンスも舞踏会の開幕を遅らせようとするが焼け石に水。そこへ、首飾りを持ったダルタニャンが宮殿の目前へ駆けてきた。
しかし、そこに馬車で駆けつけたミレディーが立ちはだかる。ミレディーの襲撃で足止めされるダルタニャンだったが、ジャンと三銃士の活躍で突破する。


舞踏会が開幕し、王妃は首飾りを身に着けていないことを国王とリシュリューに問い詰められ、さらにミレディーが奪ったダイヤを突きつけられる。
そこへダルタニャンとコンスタンスが駆けつけ、王妃に首飾りを手渡した。


こうしてリシュリューの陰謀は失敗し、ダルタニャンは王妃の危機を救ったのだった。


■Explanation■
ついに迎えた舞踏会の朝、そして「首飾り編」のクライマックス。
フランスに再上陸したダルタニャンが、パリまでの道程180キロを疾走する。


対するリシュリュー陣営も「往路」のような罠を張ること無く、パリからロシュフォールたち護衛隊を送り、真っ向から迎え撃つ。そこに三銃士が駆けつけ、さらにミレディーも絡んでくる。
ルーブル宮殿で待つコンスタンスとアンヌ王妃も交えて、文字通りのオールキャストのドラマが展開される。


印象的なのは、冒頭のミレディーの登場シーン。
嵐の海から生還し、波が激しく打ち寄せる断崖に立つ姿を、上空から回り込みでアップになる。幾度も死線を潜り抜け、執念深くダルタニャンを狙う迫力が漲っている。


サンドニ門での護衛隊との戦い、ルーブル宮殿を目前にして立ちはだかるミレディー。そこでダルタニャンを助けたのは仲間たち、三銃士とジャンだった。
そしてラストシーン。事件の黒幕であるリシュリューの目前で、王妃に首飾りを渡す。
その傍らには、自分を信じ、危険な任務を託してくれたコンスタンスがいた。


仲間たちと力を合わせて困難をダルタニャンの長い冒険は、これ以上ないほどのハッピーエンドで幕を下ろす。

■Dialogue/Monologue■

コンスタンス「私達にできることは、ダルタニャンを信じて待つことだけです」

ダルタニャンに任務を託し、渡航許可証を届ける活躍をみせる活躍をみせたコンスタンス。
しかし、事ここに至っては、待つことしかできないのだ。

ミレディー「このままダルタニャンを、無事にパリまで行かせてなるものか」

しつこくダルタニャンを狙うミレディー。
その理由はリシュリューから与えられた任務だからというだけでは無いだろう。

ダルタニャン「仕方ないよ、ずぅっと走り詰めなんだから。よくやったぞ、ロシナンテ

パリを目前にして、力尽きたロシナンテ。愛馬の今までの働きを労い、ダルタニャンは自らの脚でルーブル宮殿を目指す。

コンスタンス「何かお手伝いすることは…キャッ、まぁ、どうしましょう」

舞踏会の開催を少しでも遅らせようとするコンスタンスが、手伝う振りをして会場のシャンデリアのロウソクを消す時のセリフ。少し棒読み気味で言うのがコツだ。
普段は優等生な彼女だけに、このプチ策士ぶりは萌える。

コンスタンス「陛下のお呼びが急だったもので、慌ててお忘れになったものです」

国王とリシュリューが見る中で、ダルタニャンが持ち帰ったばかりの首飾りを渡してのセリフ。
「忘れた」なんてもちろん大嘘なのだが、それすら爽やかに言えてしまうほどの安心感に満ちている。

国王「今後、アンヌのことで良からぬ事を申すと、ただではおかぬぞ」

王妃の失脚を狙い、様々な陰謀を企んできたリシュリュー
しかし、ダルタニャンたちの活躍によって尽く阻止され、ついには国王に釘を刺されてしまう。


■Next Episode ~次回予告~■

ダルタニャン「ガスコーニュの爺ちゃん婆ちゃん、やったぜ!とうとう憧れの銃士になる日が来たんだ!おまけにコンスタンスとデートの約束までしちゃって。俺、幸せ」
ジャン「そう何もかも、うまく行くわけがない!」
ダルタニャン「なんだよぉ、ジャン」
ジャン「あのミレディーがダルタニャンのこと狙ってるんだって!」
ダルタニャン「げーっ!嘘だろ!」
ジャン「嘘かホントか、次回『アニメ三銃士』《はじめてのデート》を観ればわかる。よ・ろ・し・く・ジャーン!」

久しぶりにダルタニャンとジャンによる掛け合いの予告。
憧れの銃士に任命されてコンスタンスともデートすることになり、まさに喜びの最中にいるダルタニャン。そこへツッコミの如く非情な現実を語るジャン。本編でもダルタニャンが銃士になったことに反発することを予感させるようだ。
あと今までダルタニャンが予告で言ってた「観ればわかる」を、今回はジャンが言ってるのも面白い。


■Mousquetaires Journey ~三銃士紀行~■
ルーブル美術館の映像を背景に、ルーブルの主人だった王と王妃を紹介。
アンリ4世やルイ13世の騎馬像。壁を飾るルイ王家の百合の紋章。そしてフランス革命による混乱から華やかに登場したナポレオンの紋章や肖像画と、その革命で処刑されたルイ王家最後の王妃マリー・アントワネット肖像画が、明暗を描くように続けて紹介されている。


(記:2012年9月11日/追記:2020年04月18日)