アニメ三銃士

12話:あこがれの銃士

■放送日:1988年1月22日 / 演出:湯山邦彦 / 作画監督:進藤満尾

■Story■
銃士見習いとなったダルタニャンの初出勤日。ボナシューに新調してもらった銃士のマントを着て浮かれるダルタニャンだったが、それをトレビル隊長に叱られてしまう。
そして、馬小屋の掃除や隊長の馬の世話を命じられる。


その夜、ルーブル宮殿でバッキンガム公爵を歓迎する舞踏会が開かれていた。ジャンはミレディーが宮殿に向かうのを目撃する。トレビル邸で留守番をしていたダルタニャンも、それを知り宮殿に駆けつける。


舞踏会ではミレディーはアンヌ王妃の親友を装って公爵に近づき、公爵を庭園内の隠し通路へ案内する。公爵は罠とも知らず、その隠し通路から王妃の部屋に入る。
予期せぬ公爵の来訪に、驚く王妃とコンスタンス。さらにリシュリューに連れられた国王に、その現場を押えられようとしていた。焦った公爵は思い出の品が欲しいと頼み込み、王妃はやむなくダイヤの首飾りを渡して追い返した。


隠し通路の出口では、ロシュフォールたち護衛隊が待ち受けていた。公爵が捕まりそうになったその時、ダルタニャンが現れ公爵を脱出させる。さらに追撃する護衛隊を、駆けつけた三銃士が蹴散らし、またも公爵の危機を救った。


■Explanation■
タイトルこそ「あこがれの"銃士"」だけど、実際はまだ見習い。浮かれるダルタニャンがトレビルに叱られてしまうのもお約束。記念すべき初任務は馬小屋掃除に馬の世話。
しかし、隊長の暴れ馬をロシナンテと共に抑えるシーンは、中々の見せ場。


ルーブルの舞踏会にて。ミレディーが公爵に近づくときに使った「ミラボー夫人」という偽名は、今後も出てくるので覚えておこう。あと、「宮殿の要人の部屋には、実は隠し通路が」というのは、実際によくあるらしい。史実のルーブルにもあったのかな。


王妃の部屋に押しかけた公爵。それがリシュリューの罠だと気づいても、すぐに帰ろうとしない。思い出にと王妃の持ち物をねだる。ホント、身勝手な貴族様だ。
困った王妃が苦しみ紛れに渡したのがダイヤの首飾り。窮余の策とは言え、これが後の大事件の発端となる。


出口で待ち伏せていたロシュフォールたちを剣で征し、公爵を救うダルタニャン。そして後始末を三銃士に押し付けて、もとい託して去ってゆく姿は中々格好良い。


■Dialogue/Monologue■

ダルタニャン「国王陛下の銃士!…見習い…、ゴホン、ダルタニャンだ!」

ルーブル宮殿に入る際、門番へ名乗った言葉。こんな非常時でも、嘘のつけないダルタニャンでした。

リシュリュー「いかが致したバッキンガム殿。先程から王妃のお姿ばかり追っておる様だが」

公爵の王妃への想いを知り、それを己の陰謀に利用していながらこの言い草。悪役らしい嫌みな言葉。

コピー「ミラボーフジン、オウヒサマノミカタ」

ミラボー夫人を名乗るミレディーが、王妃の味方であることを証明する手段として「王妃の飼い鳥」であるコピーに言わせた言葉。
まさか公爵も、鳥がリシュリューのスパイだなんて思わなかっただろうな。

バッキンガム公爵「帰れません。例えここで命を失うことになっても」
アンヌ王妃「もうお目にかかることは無いと思います。これを私の身代わりと思って、大事にお持ち下さい」

王妃の私室に押しかけた公爵と、公爵を追い返そうとした王妃の言葉。
「命を失っても」とか言っても、アンタの命では済まない国際問題が起こるかもしれないというのに。そして、困った王妃が渡した物が、後のキーアイテムとなるダイヤの首飾り。

ポルトス「どすこい!」

公爵を捕らえようとする護衛隊たちを押し返す時の掛け声。何故に日本の、それも相撲の掛け声を知っていたのだろう?
でも、ポルトスにはこれ以上無いほど似合ってる掛け声だ。


■Next Episode ~次回予告~■

ダルタニャン「バッキンガム公爵は無事にイギリスに帰ったんだけど、
安心するのも束の間、コンスタンスがスパイの疑いをかけられちゃったんだ」
ジャン「スパイ!?コンスタンスさんがそんな事をするわけないじゃん!」
ダルタニャン「決まってるだろ!きっとまたリシュリューの陰謀に違いないんだ。
ここは俺たちが乗り出して、コンスタンスの疑いを晴らすしかない!」
ジャン「どうやって?」
ダルタニャン「それは…次回『アニメ三銃士』《スパイは誰だ》を観ればわかる」
ジャン「ってなワケで、よ・ろ・し・く・ジャーン!」

前回に続きダルタニャンとジャンによる予告。
愛しのコンスタンスの疑いを晴らすため、今回もダルタニャンの意気込みが伝わってくる。そして10話に続き「観ればわかる」と再びメタ的な締めの一言。


■Mousquetaires Journey ~三銃士紀行~■
今回と次回はバッキンガム公爵の来訪に因み、公爵の地元であり「首飾り編」で舞台となるイギリスのロンドンを紹介。
ロンドンの街並みからタワー・ブリッジやテムズ川、そしてロンドン塔など。
ロンドン塔は歴代の国王が居城としていたが、政治犯を収容する牢獄にして処刑場でもあったという。特に反逆者の門から収監された者は二度と出られず、後に女王となるエリザベス1世は出獄できた数少ない幸運な人物として紹介されている。
本編でもロンドン塔と反逆者の門(劇中では「逆賊門」と呼称)は22話で登場。逮捕されたミレディーが門を通って収監されるも…。そんな展開を予習できる。


(記:2012年7月12日/追記:2020年03月29日)