アニメ三銃士

13話:スパイは誰だ

■放送日:1988年1月29日 / 演出:早川啓二 / 作画監督:辻初樹

■Story■
バッキンガム公爵は無事にイギリスに帰国した。しかし、アンヌ王妃が公爵にダイヤの首飾りを渡したことが、スパイ鳥のコピーによってリシュリューに知られてしまう。
リシュリューはそのことを国王に告げ、さらに真相を確認するため舞踏会を開催するよう進言。国王は言われるままに承諾し、王妃にダイヤの首飾りを着けて出席するよう命じる。
自分とコンスタンスしか知らない事を、なぜリシュリューが知っているのか。王妃は絶望のあまり、コンスタンスがスパイだと疑ってしまう。


それを知ったダルタニャンは、王妃のペットであるコピーが舞踏会の時にミレディーと一緒だったことを思い出し、コピーがスパイだと考える。そして、それを証明するため一芝居打つことにする。


まず、コンスタンスが王妃の部屋で「公爵が首飾りを返しにやってきた」とニセ情報を話し、コピーが外へ飛び出した後をダルタニャンが追跡。コピーがリシュリューの屋敷に入り、リシュリューに情報を伝えるところを押えた。ミレディーに銃を突きつけられて絶体絶命になるも、ロシュフォールを盾にして脱出する。
かくしてコンスタンスの疑いは晴れ、コピーはダルタニャンたちのペットになった。


■Explanation■
前夜の騒動から一夜明けて。何事も無かったように宮殿で謁見する王妃と公爵。実はこれが二人の、今生の別れとなってしまうのだか…。
一方、公爵を助けたことについて、トレビルからお褒めの言葉を受けるダルタニャン。今までは怒られてばかりだったけど、ようやく褒められて良かった良かった。


しかし、オウムのコピーによって、首飾りの件がリシュリューに知られてしまう。視聴者にはコピーがスパイだと分かっているのだけど、王妃たちには想像もつかない。混乱した王妃に疑われ、必死に我が身の潔白を訴えるコンスタンスが健気だ。


コピーが怪しいと睨んだのがダルタニャンの発案で、コピーを罠にはめることに。コンスタンスが王妃にウソの知らせを告げ、飛び出したコピーを追ってリシュリュー邸へ乗り込むダルタニャン。ちなみに、この時の服装は普段と違う黒のマントと帽子に、赤い服。これがダルタニャンの「変装ルック」なのだろうか
かくして、スパイであることが明かされたコピー。しかし、お咎め無しどころか、あっさりとダルタニャンたちのペットになり、その後は献身的な活躍をすることになる。動物だけあって強い者、あるいは自分に利をもたらす者を、本能的に嗅ぎ分けているのだろうか。


めでたく疑いの晴れたコンスタンス。ダルタニャンにお礼としてネックレスをあげようとするが、ジャンの「首飾りは縁起が悪い」の言葉で現実に戻される。首飾りを巡る事件は、今まさに始まったばかりなのだから。


■Dialogue/Monologue■

ダルタニャン「訳は隊長の方がご存知でしょう。叱るのは隊長なんだから」

舞踏会の翌朝。トレビル隊長に呼び出されたダルタニャンが、最初に謝ってからの言葉。
叱られ癖のついたダルタニャンだったけど、今回は公爵を救ったことに関するお褒めの言葉でした。

ダルタニャン「これはある方の名誉に関わることです。隊長殿にもお話できません」
トレビル隊長「(小声で)…王妃様のことだな」

隊長に褒められながらも、大事なところは話さないダルタニャン。しかし、隊長はお見通しでした。

コンスタンス「私は潔白です。忠実に王妃様にお仕えするのを誇りに思っています。どうしてそんなことができましょう」
アンヌ王妃「私もそなたを信じたい。でも今の私は…何が何だか分からないのです」

スパイだと疑われてしまうコンスタンスと、疑わざるを得ない王妃の会話。
コンスタンスの言葉からは王妃への揺るがぬ忠誠心が表れている。一方、王妃の言葉からは、唯一心から信頼できる者までも疑わざるを得ない苦悩が滲み出ている。


■Next Episode ~次回予告~■

ダルタニャン「アンヌ王妃のダイヤの首飾りは、バッキンガム公と共に海を渡りイギリスに。10日後の舞踏会までに戻って来ないと、王妃様は…」
ジャン「どうなっちゃうんだ?」
ダルタニャン「ルーブル追放。そして、フランスとイギリスは戦争になっちゃうかも」
ジャン「エライ事じゃん!何とかしなくちゃ!」
ダルタニャン「ウダウダ言っても始まらない!ここはひたすら行動あるのみだ!」
ジャン「てなワケで、次回『アニメ三銃士』《パリ脱出》」
ダルタニャン「みんな、また会おう!」

首飾りをめぐる事件が王妃のみならずフランスとイギリスを揺るがす一大事に。その緊迫感が語られている。
「行動あるのみ」がダルタニャンの無鉄砲さ、もといアグレッシヴさを象徴している。
「首飾り編」では離れ離れになるので、ダルタニャンとジャンの掛け合い予告はしばらくお預け。


■Mousquetaires Journey ~三銃士紀行~■
ロンドンのセント・ジェームズ宮殿やチャールズ1世の騎馬像などを紹介。
宮殿の映像を背景に、当時のイギリス国王・チャールズ1世についても紹介。本編でも名前が挙がったように、ルイ13世の妹アンリエットと結婚し、またバッキンガム公爵を国政に起用した。しかしピューリタン革命により1649年に処刑された。
セント・ジェームス宮殿は、そんなチャールズ1世が生まれて、処刑前夜も過ごしたという場所。処刑当日も霜の降りた宮殿内の公園を通って処刑場へ向かったという。


(記:2012年7月12日/追記:2020年04月10日)