アニメ三銃士

14話:パリ脱出

■放送日:1988年2月5日 / 演出:高本宣弘 / 作画監督:松原徳弘

■Story■
舞踏会まで9日。それまでにイギリスのバッキンガム公爵からダイヤの首飾りを取り返さないと、アンヌ王妃の身が危ない。
悲嘆に暮れる王妃に、コンスタンスはイギリスへの使者としてダルタニャンを推薦。ダルタニャンもコンスタンスの頼みならと大喜びで、使者の役目を引き受ける。


早速ダルタニャンは、トレビル隊長に休暇を申し出る。
最初は反対していたトレビルも、ダルタニャンの決意に事の重大さを察し休暇を許可。さらに三銃士にも休暇を与え、ダルタニャンに同行させるよう計らう。
ダルタニャンと三銃士はボナシュー宅の2階でロンドンへの旅について話し合う。


一方、配下を使い王妃の周辺を監視していたリシュシューも、ダルタニャンたちの動きを察していた。
そしてミレディーが仕立て客を装いボナシューを呼び出し、催眠術をでダルタニャンたちの出発を聞き出す。


その夜、ダルタニャンと三銃士はボナシュー宅の2階に集まり、旅の無事を祈り酒宴をする。
そこへロシュフォールたち護衛隊が押しかけてきた。
追い詰められたダルタニャンたちは、護衛隊を2階に引きつけて、その隙にポルトスが床板を破って脱出。そのままパリへ向けて旅立った。


■Explanation■
ダルタニャンと三銃士がパリに旅立つ重要エピソード…なのだけど、それ以上に注目なのが、急接近するダルタニャンとコンスタンス。
王妃の身を、ひいてはフランスとイギリスの国際関係を揺るがす大事を、愛しいコンスタンスのためならと二つ返事で引き受けてしまうダルタニャン。
彼の時には痛さすら感じてしまう無鉄砲さが、今回ばかりは痛快に思えるワンシーンだ。


休暇を申し出るダルタニャンの様子に、全てを察して三銃士を同行させるトレビル隊長。なかなか話せる上司ぶりだ。
ちなみに一行の旅の名目は「フォルジュの温泉で療養」だったんだけど、以降は完全に忘れ去られてしまう。


しかし、無事に出発させてくれないのがお約束。
ボナシューを呼び出して、催眠術でダルタニャンの動向を聞き出すミラボー夫人ことミレディー。ボナシューさんにとっては最初の災難。
あと、「ミラボー夫人」の館にいた侍女は、痩せこけてて目元が隠れてて声も暗くて、かなり怖いぞ。


護衛隊の襲撃を受け、ドタバタのうちに出発するダルタニャン一行。
それでも4人が剣を合わせて、お決まりの「ひとりはみんなのために!」と決めるのは格好良い。


■Dialogue/Monologue■

コンスタンス「一人、良い人がいます」
アンヌ王妃「…ダルタニャンね!」

ロンドンへの危険な旅を、誰に任せるか。
二人の心に浮かんだのは、まだ銃士にもなっていない、しかし誰よりも信頼できる、一人の若者だった。

コンスタンス「ねぇ、引き受けて下さる?」
ダルタニャン「もちろん、コンスタンスのためならね」
コンスタンス「私のためじゃないの、王妃様のためよ」
ダルタニャン「同じことさ、王妃様のためになることはコンスタンス、君のためになるんだ」
コンスタンス「危険がいっぱいの仕事なのよ」
ダルタニャン「危ないことは俺、コンスタンスの次に好きなんだ」

愛しいコンスタンスのためなら、危険なことへも喜んで飛び込んで行く。
ダルタニャンの行動原理を凝縮した会話。

ダルタニャン「キスしておくれ、死んでも思い残すことの無いように」
ダルタニャンも人の子、怖い物はやっぱり怖い。それを打ち消すためには、やっぱりコレ。

この時は直前になってジャンによって中断したけど…。

トレビル隊長「銃士になる望みを捨てると言うのか、たかが女のために!」
ダルタニャン「女のためではありません、愛と信頼のためです」
トレビル隊長「レディの名誉を守るのは、男にとっても名誉なことだからな。特にリシュリューが敵なら、相手にとって不足は無い」

ダルタニャンの言葉に、全てを察したトレビル。
しかし、ダルタニャンの言う「愛と信頼」を託された相手がコンスタンスであることにも気づいていたのだろうか。

ポルトス「休暇が貰えて旅ができるなら、こんな結構なことは無いじゃないか。ぜひ連れて行ってくれ」

いつものことだけど楽天的なポルトス。この旅の重要性を分かっているのだろうか。

ミレディー「お前の主人は、このミレディーだ。いいね」

ボナシューに催眠術をかけての言葉。
こんなコトを言われた日には、催眠術なしでご主人様、否、女王様と呼びたくなるぜ(←お前だけだよ)。


■Next Episode ~次回予告~■

アトス「我々三銃士とダルタニャンのロンドンへの旅が始まった。行く手にはリシュリューの罠が待ち構えている。アラミス!ポルトス!油断するなよ!」
アラミス「俺は大丈夫だが…ポルトスがなぁ」
ポルトス「ん…もぐ…。ここのシチューは美味いぞ。やはり旅の楽しみは食い物だなぁ」
アトス「そのポルトスの食い意地が、我々を危機に陥れる」
次回『アニメ三銃士』《危険な旅」》」
アラミス「ポルトス、食ってばかりもいられないぞ!」
ポルトス「んー、何だ?」

初の三銃士による予告。でもポルトスは本編同様に食べてばかりで、トラブルの元になることをアトスとアラミスに指摘されてもお構いなし。
アトスの「我々を危機に陥れる」の辺りは、もはや呆れているようにさえ感じられる。


■Mousquetaires Journey ~三銃士紀行~■
今回からはロアール川を紹介。
ロアール川は「フランスの庭」と言われるフランス最長の川で、ルイ14世はロアールの地をこよなく愛して狩りを楽しんだという。
また下流には1598年の「ナントの勅令」で知られるナントがあり、この勅令で認められた新教徒の権利をめぐり、1628年に新教徒の拠点ラ・ロシェルで包囲戦が起こる。そこでは原作小説のダルタニャンと三銃士が大活躍することも説明されている。


(記:2012年9月1日/追記:2020年04月10日)