アニメ三銃士

21話:王妃のダイヤモンド

■放送日:1988年4月15日 / 演出:早川啓二 / 作画監督佐藤真人

■Story■
ルーブルの舞踏会まであと4日。バッキンガム公爵はウィンザー宮殿の舞踏会に、ダイヤの房飾りを着けて出席する。しかし、その舞踏会にはミレディーも潜入していた。


ミレディーは飼い猿ペペを使って会場を混乱させ、ダルタニャンを公爵から引き離す。その隙にアンヌ王妃に変装した姿で現れ、公爵を庭園へと誘い出す。
そして王妃に成りすまして公爵に愛の言葉を囁きながら、密かに房飾りのダイヤを二つ切り取って、そのまま姿を消した。


ダイヤを奪われたことに気づいた公爵とダルタニャンは、大急ぎでロンドンへ戻ろうとする。
その途中、ミレディーが雇ったならず者に襲われ、公爵の馬が負傷してしまう。
ダルタニャンの活躍でならず者は撃退され、公爵はロシナンテに乗ってロンドンへ到着。すぐにミレディーを足止めすべく、全国の港に出国禁止令を発令する。


そして、ミレディーが乗った船がドーバーの港を出ようとした時、港に出港禁止を告げる大砲が鳴り響いた。


■Explanation■
ダルタニャンをロンドンに送り出して、一安心の三銃士。パリに戻ってボナシュー宅で食事会と平和なひと時を過ごしていた。


しかし、ルーブル宮殿ではリシュリューが、王妃にダイヤの首飾りをつけて舞踏会に出席するよう釘を刺す。これからパリでも、もう一つ二つ波乱が起きる。


今回の目玉はミレディーの変装ぶり。王妃に扮したミレディーと公爵の密会場面は、薄暗い庭園というシチュエーションもあって幻想的なワンシーン。
ニセ王妃の声も、ミレディー役の平野文さんからアンヌ王妃役の岡本菜莉さんへと変わって行く。愛しい王妃に愛の言葉を囁かれ、公爵にとってはまさに夢のようなひと時だった。
しかし、夢はいつしか必ず覚める物。そこに待っていた現実は、現れた王妃が偽者だったこと、そして房飾りのダイヤが奪われたという衝撃的なものだった。


ミレディーを捕らえるべく、ロンドンへ急ぐダルタニャンと公爵。
ミレディーの雇ったならず者たちを撃退し、公爵を逃がすダルタニャン。舞踏会ではペペに振り回されて格好悪かったけれど、最後は主役らしく、格好良くキメてくれました。


■Dialogue/Monologue■

アンヌ王妃「この宮殿にはゴキブリのように見ただけで胸か悪くなるような方もいますから、そんな方と顔を合わせたくないだけです」
アンヌ王妃「リシュリューはまるでドブネズミ。私の様子を見に来たのね」

王妃のリシュリューに対する嫌悪感を端的に表したセリフ。
でも、王妃様ともあろうお方がゴキブリだのドブネズミだの、下品な言葉を言いすぎです。

ジャン「イギリスにはキレイな女の人が多いからなぁ」
コンスタンス「そんな、心配なんてしてないわ、私は王妃様のために…」

イギリスに行ったダルタニャンを案じる二人のセリフ。コンスタンスをからかう様なジャンと、照れ隠しのようなコンスタンスが対照的。
幸か不幸か、イギリスでのダルタニャンはミレディーの相手で大忙しだったため、イギリス女性とイチャつく暇なんてありませんでした。

偽王妃ことミレディー「そう、この世のことは全てただの夢でございます」
バッキンガム公爵「夢でもいい、その代わり、いつまでも覚めないで欲しいものだ」

公爵にとっては夢にまで見た王妃との逢瀬。しかし、この夢が覚めた後には過酷な現実が待ち受けていた。

ならず者の老婆「お礼に貴方様の運勢を占ってさしあげましょう。手相にはここを生きて通れないと出ております」

ならず者の一味にいた老婆が、公爵の行く手を阻んで言ったセリフ。不気味な風貌といい、この芝居じみた言葉といい、ザコキャラらしならぬインパクト。

バッキンガム公爵「理由なんてどうでもいい!私がそうしたいから、そうするのだと言え!」

ロンドンに戻った公爵が、大急ぎで出国禁止令を出した時、部下にその理由を聞かれての言葉。
せめて「反逆者を逃がさないためだ!」くらいは言おうよ。これじゃタダのワガママ大臣だ。


■Next Episode ~次回予告~■

ダルタニャン「やったぁ!ドーバーの港で足止めを食ったミレディーを逮捕したぞ!」
ミレディー「だからどうだっていうのダルタニャン!ダイヤは絶対に渡さないからね!」
ダルタニャン「ミレディー、お前も往生際の悪い奴だな!このロンドン塔から逃げられると思っているのか!」
ミレディー「フフフ。たとえイギリス国王であろうと、私の自由を奪うことはできやしないわ!」
ダルタニャン「次回『アニメ三銃士』《ロンドン塔の大烏》」
いよいよミレディーと対決だ!みんな、また会おう!」

ダルタニャンとミレディーによる予告。捕まりながらも強気な言葉を吐くミレディーと、負けじと応じるダルタニャンの掛け合いが、次回に展開される牢獄内での緊迫した密室劇を予感させる。


■Mousquetaires Journey ~三銃士紀行~■
前回に続きウィンザー城より、ロング・ウォーク(並木道)や庭園、そしてチャールズ2世の騎馬像を紹介。
チャールズ2世(1630~1685)はバッキンガム公爵が仕えたチャールズ1世の息子。1660年に亡命から帰国し、ベルサイユ宮殿に倣って並木道の庭園を造らせたという。
そしてチャールズ2世は1670年に従兄弟にあたるルイ14世と「ドーバーの密約」を結び、フランスからの財政援助と引き換えにカトリックの復活を約束するなど、当時のイギリスとフランスは互いに深く関わりあっていたことが語られている。


(記:2012年9月11日/追記:2020年04月10日)