アニメ三銃士

22話:ロンドン塔の大烏

■放送日:1988年4月22日 / 演出:高本宣弘 / 作画監督:杉山東夜美

■Story■
ルーブルの舞踏会まであと3日。ミレディーはドーバーの港で逮捕され、ロンドン塔へ投獄される。
早速、ダルタニャンが尋問する。
しかし、ミレディーは2個のダイヤを飼い猿ペペに託し、ダルタニャンにはダイヤは無くしたと嘘をつく。ダルタニャンはその嘘を見破るが、ミレディーは力ずくでダルタニャンを征し脱獄を図る。


ダルタニャンはダイヤを持ったペペを追い、ダイヤの一個を取り返しミレディーも捕らえるが、もう一個はミレディーが操るロンドン塔の大烏が咥えて、パリへと飛び去ってしまう。


その頃、パリではリシュリューが、ダルタニャンのニセ葬式を行った罪で三銃士を罰しようとしていた。
そこでアトスが機転を利かし、ダルタニャンは神の奇跡で生き返ったのだと言い、危機を逃れた。


■Explanation■
ついに逮捕されたミレディー。「ここを通って投獄された者は生きて出られない」という、史実でも有名な逆賊門を通り、ロンドン塔へ投獄される。
そして、牢獄の中という究極の密室で、ミレディーとダルタニャンの緊張感溢れる会話劇が展開される。


まずは泣き落としで騙そうとするミレディー。しかし、ダルタニャンは全く騙される気配が無く、それどころかペペの様子からミレディーが嘘をついてることを見破りかけてる。
こんな落ち着きと洞察力を見せるダルタニャンは、初期のお調子者ぶりと比べたら随分成長したものだ。でも、色仕掛けにまでは免疫が無いらしく、服を脱いでまで騙そうとするミレディーが一枚上手なのかも。
あと、嘘を見破った途端、豹変したミレディーにあっさり投げ飛ばされてしまうのは些か情けない。


一方、パリではダルタニャンのニセ葬式が問題となっていた。視聴者的にはミレディーのインパクトある活躍が続いたせいで、印象が薄れつつあったんだけど。
そう言えば、ロシュフォールはこの回までダルタニャンが死んでいたと思い込んでいたワケか。
結局、アトスの「ダルタニャンは神の奇跡で生き返った」という言葉で、国王はあっさり納得してしまった。さらには「墓を暴いて確かめた」ということを問題にして、リシュリューをやりこめてしまうのは見事。


視聴者的には「死んだ人が生き返るなんて…」と思ってしまうけど、次の回ではそれが起こってしまうのだ。


■Dialogue/Monologue■

ミレディー「お前達にこの私が殺せるものか。私を殺す前にイギリス国王の首が胴から離れているだろうよ」

ロンドン塔に収監される船の中で、兵士に言ったセリフ。
絶体絶命の状況にあっても、ただの強がりとは思えない恐ろしさを感じる。

ダルタニャン「ただの勘さ。でも、この勘は外れたことは無いんだ。ガスコーニュの田舎で正直に暮らしてきたお陰でね」
ダルタニャン「口は嘘をついても、目は嘘をつけない。目を見れば分かるさ」
ダルタニャン「君の目はともかく、動物の目は正直さ。さっきからその猿は妙におどおどしているぞ。君が嘘をついているのを知っているからだ」

自らで養った勘で、ミレディーの嘘を見破りかけるダルタニャン。対するミレディーが取った行動は…

ミレディー「そんなに疑うなら、私を裸にして調べたら良いでしょう。さぁ、何もかも気が済むまで調べたらどう」

服の肩を肌蹴て、文字通り身体を張ってダルタニャンを騙そうとするミレディー。これにはダルタニャンも信じざるを得なくなるが…。
そんなダルタニャンを見て「この根性無し!」と思った男子諸君は、正直に挙手!
…ノシ

アトス「墓が空だったとしたら、神のお恵みによって生き返ったダルタニャンが、棺を破っててたのかもしれません。それこそ偉大な神の奇跡と言えましょう!」

自分が仕組んだダルタニャンのニセ葬式を悪びれる事無く、さらには「神の奇跡」と言ってごまかしてしまう。さすがは知恵者アトス。


■Next Episode ~次回予告~■

アトス「アンヌ王妃の首飾りは、舞踏会に間に合うのか。バッキンガム公爵は、ダルタニャンは、いかなる手を打つのか」
アラミス「一方、パリではアンヌ王妃を陥れる証拠を掴むために、リシュリューがボナシューを捕まえ、連れ去っていった」
ポルトス「そして、ロンドン塔に閉じ込められたミレディーは、着々と脱獄の準備を進めていたのだ」
アラミス「あっちもこっちも大忙しで」
ポルトス「次回『アニメ三銃士』」
アラミス「《ロンドン塔脱獄》」
アトス「舞踏会まで、あと3日!」

パリでダルタニャンを待つ三銃士による予告。
熱い口調ながらも事実が淡々とナレーション語られる予告からは、ただ待つことしかできない立場の焦りも感じられる。


■Mousquetaires Journey ~三銃士紀行~■
本編でも舞台となったロンドン塔を紹介。「ロンドン塔はイギリスの血塗られた歴史のシンボル」「城塞や王宮としてより、牢獄や刑場として有名」と語られ、本編と同じく「この塔に入れば二度と外には出られない」と解説されている。
また、国会議事堂とクロムウェル像の映像も紹介。かつてバッキンガム公爵が失政により弾劾されたのも、この議事堂だという。
そして公爵が仕えたチャールズ1世は内政問題を切っ掛けに議会軍と戦い敗れ、その議会軍を率いて活躍したクロムウェル(1599-1658)は1649年にチャールズ1世を処刑し王制を廃止。共和国を宣言したことが語られている。


(記:2012年9月11日/追記:2020年04月10日)