アニメ三銃士

9話:はだしのジャンのお母さん

■放送日:1987年12月11日 / 演出:早川啓二 / 作画監督:金子紀男

■Story■
ある夜、ジャンは母と別れた時の夢にうなされていた。ジャンの母親は新教徒を助けた罪で逮捕され、それきり生き別れになっていたのだ。それを知ったダルタニャンはボナシューに協力を頼み、ジャンの母親の情報を集めようとする。


やがて、ベルサイユで狩りが催されることになり、ポルトスがボナシューの店に狩用の服を新調しに来る。そのポルトスからノルマンディー出身の婦人・シャルロットの話を聞き、ジャンは彼女が母親ではないと考え始める。


しかし、シャルロットはリシュリューの配下だった。リシュリューは国王とアンヌ王妃が世継ぎに恵まれないことに目を着け、彼女を国王に近づけることで王妃との仲違いを目論んでいた。それを知らないダルタニャンとジャンは、シャルロットに会うべく、彼女が世話になっているロシュフォールの屋敷に忍び込む。


ジャンはシャルロットを見て、彼女こそ生き別れの母親だと確信する。だがシャルロットはジャンを冷たく突き放し、ついには銃を向けてしまう。ダルタニャンは戸惑うジャンを無理やり連れて、屋敷を脱出した。


■Explanation■
単発エピソード第3弾は、前後編でジャンの母親探しを描く。ここでジャンが母親と別れた時のことが詳しく描かれる。1話でコンスタンスに話した時は「戦争ではぐれちまった」だったけど、ここでは当時の時代背景だった新教徒の件を絡めている。


国王と王妃の間に世継ぎが産まれないことも史実の通り。二人に子供(後のルイ14世)が誕生するのはさらに十数年後、王妃が40歳の時まで待たなければならない。この件はロンドンにいるミレディーからの手紙によると、遠くロンドンでも話題になっているという。王制国家にとって、世継ぎ問題は致命的だからなぁ。


今回、そして次回と三銃士で「お当番」なのはポルトス。狩りのために服を新調したり、社交界の情報に詳しかったり、見かけによらずプレイボーイなのかも。そのポルトスが話してくれた社交界の新人シャルロットに、ジャンが食らい付くことになる。


シャルロットはジャンの母と同じノルマンディー出身で、年頃も同じくらいで、顔も(ジャンの描いた似顔絵に)似ているという。「そんな人、幾らでもいるよ」と言ってはいけない。ジャンは藁にもすがる思いで彼女に会いに行く、それも仇敵であるロシュフォールの屋敷へ。シャルロットに激しく拒絶され、銃を突きつけながらも「母ちゃんだろ!」と呼びかけるジャンの姿は悲しすぎる。


■Dialogue/Monologue■

ジャン「分からない、お母ちゃんは困っている人を助けただけなのに」

母が逮捕された理由をダルタニャンに聞かれて。新教徒を助けたのではなく、助けた人が新教徒だったという偶然の悲劇。

コンスタンス「恋人だなんて、違います。あんな年下の坊やなんて」

国王や王妃からダルタニャンのことを言われて、コンスタンスの反応。哀れダルタニャン、愛しのコンスタンスに坊や呼ばわりされる。

シャルロット「このシャルロットという名を頂いた時から、生まれ変わったつもりでしたが。二度とこの様な醜い姿はお見せしません」

突然現れたジャンに驚きながらも、追い払った後に言ったセリフ。この言葉から、彼女の正体が"シャルロット"ではない何かだと示されるのだが…。


■Next Episode ~次回予告~■

ダルタニャン「マドモアゼル・シャルロットは、本当にジャンのお母さんなのか。
俺とジャンはそれを確かめるために、ベルサイユで行われる狩りについて行った。
しかし、そこにはリシュリューの陰謀が暗い影を落としていたのだ。
ベルサイユの野に、ジャンのお母さんを呼ぶ声が響く。
次回『アニメ三銃士』《狩りはベルサイユで》。
泣くなジャン、俺がついてるぞ。」

今回はダルタニャンによるモノローグ形式で、ジャンの母親と思われるシャルロットをめぐるシリアスで悲しげな予告。
そして「泣くなジャン」という締めの一言で、結末が分かってしまうような…。


■Mousquetaires Journey ~三銃士紀行~■
今回と次回はベルサイユ宮殿を紹介。劇中では狩りをする野原として描かれるベルサイユも、ルイ14世の時代に一大宮殿が築かれたことで様変わり。
映像では猟犬の群れを率いて狩りをする人の様子や、ベルサイユ宮殿の庭園や外観、内部では王の間・寝室・礼拝堂を紹介。
これだけの大宮殿なので建てる時も難工事だったようで「多い時は1日4万人の農民と6千頭の馬が働いた」とも紹介されている。


(記:2012年7月11日/追記:2020年03月29日)