アニメ三銃士

7話:ダルタニャンの引っ越し

■放送日:1987年11月20日 / 演出:早川啓二 / 作画監督山本哲也

■Story■
住んでいる小船をバッキンガム公爵に譲ったため、ダルタニャンとジャンは宿無しになってしまった。
それを見かねたコンスタンスは、彼女の実家である仕立て屋ボナシューの家に下宿するよう勧める。そしてダルタニャンは大喜びで、ジャンは渋々、ボナシュー宅に下宿することになった。


翌日、休暇をもらったコンスタンスがボナシュー宅を訪れた。そして皆でパーティーをすることになった。
コンスタンスが持ってきた鹿肉でソテーをつくることになり、ダルタニャンは家政婦・マルトーに言われるまま、砥石で包丁を研いでいた。


その頃、アラミスはロシュフォールたちに拉致され、公爵を匿ったことを白状するよう脅されていた。
それを知ったダルタニャンとジャンはロシュフォールの屋敷に忍び込み、ダルタニャンが持ち合わせていた砥石でロシュフォールを撃退。アラミスを救い出した。


ダルタニャンたちが帰宅すると、パーティーの準備は既に整っていた。しかし、ダルタニャンが砥石と包丁を持ち出したため料理ができず、テーブルに出てきたのはソテーではなく丸焼きだった。


■Explanation■
公爵を巡る事件が一段落して、しばらくは単発的なエピソードが続く。今回はその第1弾、ダルタニャンの引っ越しを描いたエピソード。


冒頭は前話のラストから続く。小船で去って行く公爵を見送った後で「俺達、どこに帰ればいいんだ?」という会話は、前話の感動を見事に引っくり返す。そんなダルタニャンとジャンを助けたのがコンスタンス。王妃と公爵を助けてくれたお礼という意味合いらしいけど、コンスタンスもこの頃から、ダルタニャンのことを意識し始めていたのかも。


今回初登場のボナシューとマルトー。マルトーは、コンスタンスの傍にいたいダルタニャンを、邪魔だと台所から追い出したり、まるでコンスタンスに悪い虫が付かないよう警戒している姑のようだ。もっとも、すぐに優しい「肝っ玉母さんキャラ」になるんだけど。


後半はロシュフォールに拉致されたアラミスを救い出す展開。
いくら急いで駆けつけたとは言え、ダルタニャンの武器が「砥石」というのは笑えるし、それで倒されてしまうロシュフォールとジュサックは情けない。さらに、ダルタニャンが砥石と包丁を持ち出していたため料理ができず、パーティーに出てきたのが肉の丸焼きというオチになるのも秀逸。


■Dialogue/Monologue■

ダルタニャン「それじゃあ、このベッドでコンスタンスが寝ていたのか!」

愛しいコンスタンスが使っていた部屋の、しかもお古のベッドで寝ることになったダルタニャン。
この夜は嬉しさのあまり、少年向けアニメ(それもNHKの)ではとても放送できないような、あんなコトやこんなコトをしていたに違いない(お前と一緒にするな)。

アンヌ王妃「それではもう、お父様もお前とダルタニャンの仲を認めているの?」
コンスタンス「そんな、嫌ですわ王妃様、ただの下宿人です」

哀れダルタニャン、愛しのコンスタンスにただの下宿人呼ばわりされる。でも、実家に下宿させる時点で、それなりに意識しているはず。

ボナシュー「早起きは三文の徳というから」

寝坊したダルタニャンに言った言葉。ボナシューがなぜ日本のことわざを知っているのかは謎。

ロシュフォール「ジュサック、こいつの上着を剥ぎ取り、ムチで撃て!」

拉致したアラミスを拷問しようとしてのセリフ。さぁ、早く服を脱がして(止めろって)


■Next Episode ~次回予告~■

ローシュフォール「諸君!私はローシュフォール伯爵である!
あの忌々しいダルタニャンに、いつもやられてばかりはいられない!
バッキンガムがこっそりパリへ潜入した証拠を掴むために、
今度は正式にアラミスを逮捕して牢にブチ込んでやったのだ!アハハハハ!
これでフランスは我がリシュリュー様の物だ!
次回『アニメ三銃士』《アラミス救出作戦》
何ィ!?救出作戦だと!?そうはさせるかぁ!今に見ておれダルタニャン!」

何とローシュフォールが三銃士を差し置いて次回予告に初登場。演じる千葉繁さんによる『北斗の拳』を彷彿とさせるハイテンションな予告は強烈だ。
今回は逃がしてしまったアラミスを正式に逮捕して意気揚々と思いきや、自ら紹介した次回のサブタイトルに驚き対抗心を燃やすというメタ的な予告で、これもまたローシュフォールらしい。


■Mousquetaires Journey ~三銃士紀行~■
ルーブル美術館の目玉展示物であるレオナルド・ダ・ビンチの「モナ・リザ」や、ルーブルの外観を紹介。
ルイ13世やアンヌ王妃はもちろん、ダルタニャンもこの絵を見たかもしれない」という説明が歴史を感じさせる。
ルーブルの映像を背景にアンヌ王妃についても紹介。14才でルイ13世の王妃となるも「気が弱く我がままなルイ13世との生活は幸せな物ではなかった」という残念な説明や、「王に対する反逆事件に巻き込まれ、スペインのスパイとしてリシュリューらの審問を受けた」という『アニメ三銃士』本編を彷彿とさせる説明も。


(記:2012年7月10日/追記:2020年03月29日)