アニメ三銃士

6話:パリ大逃走

■放送日:1987年11月13日 / 演出:湯山邦彦 / 作画監督:杉山東夜美

■Story■
ダルタニャンはバッキンガム公爵を、セーヌ川に浮かぶジャンの小船に匿っていた。そこへコンスタンスが訪れ、彼女の実家へ公爵を連れて行くよう頼まれる。
その頃、パリ市内には護衛隊による非常線が張られていた。ダルタニャンとジャンは、公爵を風呂桶に隠して突破を図り、一度は護衛隊を欺くも、ミレディーによって見破られてしまう。


護衛隊の追跡を逃れたダルタニャンたちは、アラミスの家に逃げ込むが、そこもロシュフォール率いる護衛隊に包囲されてしまう。そこでアラミスが公爵に変装し、囮となって護衛隊を遠ざけた。
その隙にダルタニャンたちは脱出するが、ミレディーだけは策を見破り待ち伏せていた。公爵に銃を向け勝ち誇るミレディー。しかし、一瞬の隙をついてダルタニャンがミレディーの銃を奪い、その場を逃れる。


夜が明けて、公爵はジャンの小船に乗り、パリを脱出すべくセーヌ川を下っていった。その小船をルーブル宮殿から見たアンヌ王妃は、「オルヴォワール」と別れの言葉をつぶやくのだった。


■Explanation■
バッキンガム公爵を巡るエピソードの後編。前回は派手に逃げ回っていたのに対して、今回は闇に紛れて街を往く。夜というのが緊張感を大いに盛り上げている。


公爵を匿うことになったアラミス。しかも今回は公爵のコスプレ(違)をして、囮として闇夜に飛び出してゆく。護衛隊から逃げ切った後、爽やかな表情で羽根帽子を投げるシーンは格好良過ぎる。


一方、ミレディーも恐ろしさの片鱗を見せる。ダルタニャンたちが護衛隊を欺いて一安心と思ったところで、突然現れて追い詰めるのだから。さらに、公爵に銃を突きつけて、イギリス貴族への憎しみを叫ぶ。今まではリシュリューロシュフォールの傍らで超然と振舞っていたけど、内面に満ちた負の感情、ひいてはその土台にある暗い過去を臭わせるワンシーンになっている。
この後、ミレディーは公爵の行動を探るべくロンドンへ行き、さらなる陰謀に向けて、その牙を研ぐことになる。


ラストシーン。セーヌに面したルーブル宮殿の窓越しに、別れの言葉を交わす王妃と公爵。
しかし、王妃が言った「アデュー(Adieu)」は二度と会わないことを意味するのに対して、公爵が言った「オルヴォワール(Au revoir)」は再会を願う意味だった。この言葉が表す、二人の思いのすれ違いが新たな災厄を招くことになる。


■Dialogue/Monologue■

ミレディー「お風呂屋さん、お風呂入れてもらおうかしら」

風呂桶の中に公爵を隠しているダルタニャンを呼び止める時のセリフ。よーし、今すぐ風呂を沸かすから、さぁ早く服を脱いで(殴)。

ミレディー「マヌケなロシュフォールは騙せても、この私は騙せませんわ」

自信に満ちたミレディーの言葉。でも事実とはいえ、マヌケと評されるロシュフォールは可哀想。

ミレディー「私は貴族が憎いだけよ!特にイギリスの国王や貴族がね!」

ミレディーが心情の一端を吐露した言葉。
その真相は後に彼女自身の口から語られるが、その時には公爵は既に…。

アンヌ王妃「さようなら、アデュー・バッキンガム」
バッキンガム公爵「王妃、また会う日まで、オルヴォワール」

「さようなら」と「また会う日まで」という、二人のすれ違う思いが端的に現れている言葉。


■Next Episode ~次回予告~■

ダルタニャン「パリの街にそぼ降る雨…。住む所を無くした俺とジャンは、当て所もなく彷徨う…」
ジャン「ダルタニャン、気取ってる場合じゃないだろ!どうするんだよ!」
ダルタニャン「心配するな、ジャン。俺たちはコンスタンスの家に下宿することになったんだ。
ンフ、これでコンスタンスといつでも会えるぞ」
ジャン「ところが喜んでばかりもいられない!」
ダルタニャン「何!?」
ジャン「アラミスがローシュフォールに捕まっちゃったんだ」
ダルタニャン「そいつは大変だ!」
ジャン「次回『アニメ三銃士』《ダルタニャンの引っ越し》、
よろしく!ジャーン!!」

前回に続きダルタニャンとジャンの掛け合い予告。
ダルタニャンはポエミーな語りから、コンスタンスと同居できることへの喜びで大はしゃぎ。そしてアラミスが捕まったと知るや大慌て。起伏が激しくて、何ともコミカルな予告。
あとシメのジャンのセリフは「よ・ろ・し・く」と一文字ずつ区切らず、「よろしく!」と短く発音している珍しいパターン。


■Mousquetaires Journey ~三銃士紀行~■
パリのコンシエルジュリーを紹介。
「数々の塔、特に時計塔で有名」と紹介されているけど、より有名なのは牢獄として。「フランス革命時には多くの囚人が収容されて、王妃マリー・アントワネットも最後の一夜をここで過ごした」という怖い解説も。
なお『アニメ三銃士』の時代はパリの高等法院だったとか。


(記:2012年7月10日/追記:2020年03月07日)