アニメ三銃士

4話:ダルタニャンのお風呂屋さん

■放送日:1987年10月30日 / 演出:高本宣弘 / 作画監督:進藤満尾

■Story■
人形売りの商売を再開したジャンだったが、かつて象を暴れさせたことにより市場を追い出されてしまう。さらにダルタニャンも、居合わせた護衛隊長ジュサックと揉め事を起こしてしまう。


人形売りに替わる商売としてダルタニャンとジャンが始めたのは、セーヌ川の水を使った風呂屋だった。風呂桶や鍋をロシナンテに引かせ、客を求めてパリの街中を流す二人。そしてアラミスが最初の客として風呂を使うことに。
そこでジャンはふとしたことでアラミスの入浴を覗いたことで、アラミスが実は女性だと知ってしまう。


その後、ダルタニャンは象が鎖に繋がれて見世物にされているのを可哀想に思い、象の身体を洗おうとする。
しかし、象使いに見つかり象泥棒と言いがかりをつけられてしまう。そこへ駆けつけたジュサックから決闘を吹きかけられるが、ダルタニャンは剣を抜かず、象使いに叩きのめされる。
さらに助けに駆けつけたアラミスも、ジュサックに臆病者として罵られる。それでもアラミスは侮辱に堪え、傷ついたダルタニャンを暖かく抱きしめた。


その様子を見たジャンは、アラミスが女性であることを誰にも喋らないと決意した。


■Explanation■
冒頭、リシュリュー邸では国王・王妃を招いて潜水艦のお披露目が行われていた。
この潜水艦、以降はサッパリ出てこなくなるが、シリーズ終盤で鉄仮面一味によって再登場することとなる。そう考えると、随分と早い段階での伏線だなぁ。


ダルタニャンとジャンが始めた商売は、何と「お風呂屋さん」だった。これが中々、序盤のコミカルな雰囲気に合っている。お陰でアラミスの入浴シーンも拝めたし(おい)。


ダルタニャンたちとって、ロシュフォールと共に宿敵となる護衛隊長ジュサックが初登場。ダルタニャンを痛めつけたりアラミスを侮辱したり。ロシュフォールのようにやっつけられなかった分、よりずる賢い奴という印象。もっとも、すぐにロシュフォールと同じ「マヌケなヤラレ役」になるんだけど。


そして何より、今回の目玉はアラミスの正体。
入浴シーンでヌードを披露して、それで正体が明かされるというのは、これ以上無いインパクト。さらに、ラストで傷ついたダルタニャンを暖かく抱きしめる姿は、女性ならではの「母性」を描いた名シーン。
これによって本作におけるアラミスは「三銃士の一人」では納まらない、存在感でも人気面でも特別なポジションに位置するようになる。


■Dialogue/Monologue■

ミレディー「恋は曲者。疑いはしますまい」

バッキンガム公爵を、王妃を語る偽のラブレターでパリに誘き出そうとするミレディーの言葉。
もちろん、公爵の王妃に対する盲目的な想いまで見透かしていたのだろう。

バッキンガム公爵「この筆跡は、あの人の…」
バッキンガム公爵「愛しいアンヌ、参りますとも、必ず参りますぞ、貴女のいるパリへ…」

ミレディーの予想通り、全く疑う事無く偽の手紙を信じています。
「この筆跡は」と、王妃のことを全て理解している気分になっているのがトラブルの元。

ダルタニャン「銃士志願のダルタニャンだ!いつかきっと立派な銃士になって、王様の役に立ってみせるつもりだ!」

護衛隊長のジュサックに向かって、威勢良く啖呵を切るダルタニャン。でも、本心では…。

ダルタニャン「アラミスと比べて俺、何だか格好悪いや」

いくら「銃士志願」を名乗っても、銃士になれる訳でも無し。
本物の銃士であるアラミスを見て、さすがのダルタニャンもついついネガティブなことを言ってしまう。

ジュサック「抜かないのか。銃士志願の腰抜け野朗!」
ジュサック「どうした、お前は女か!女と言われて気に触ったのか?怒ったなら抜け!」

手を出さないのをいいことに、ダルタニャンとアラミスを侮辱しまくるジュサック。
でもまさか、アラミスが本当に女だとは思ってもいないだろうな。


■Next Episode ~次回予告~■

コンスタンス「ボンソワール(=こんばんは)、コンスタンスです。
イギリスの総理大臣バッキンガム公爵が、お忍びでパリへやって来ました。
でもそれはアンヌ王妃様を陥れるための、リシュリューの陰謀だったのです。
ダルタニャン、三銃士の皆さん、バッキンガム公爵をお救いして。
次回『アニメ三銃士』《ラブレターの罠》、
観て下さいね。ア・ビャント(=また会いましょう)」

ジャン・ダルタニャンに続き、ヒロインのコンスタンスが次回予告を担当。
ジャンやダルタニャンと違い、落ち着いた口調に加えて「ボンソワール」に「ア・ビャント」とフランス語で挨拶しているのが、宮廷仕えのお嬢様らしさを感じさせる。


■Mousquetaires Journey ~三銃士紀行~■
パリのポン・ヌフ(Pont・Neuf)を紹介。
「ポン・ヌフ」とは新しい橋の意味だけど、今ではパリで最も古い橋となったという。
また橋のあちこちに彫られている様々な顔を持つ人面像「マスカロン」も紹介。…どの顔も正直、怖い。
ポン・ヌフと言えば、アニメでは36話で鉄仮面が市民たちへ演説をしていたけど、実際に眺めの良さから見物客も多く、物売りや演説をする人で賑わっていたという。


(記:2012年7月10日/追記:2020年03月07日)