アニメ三銃士

2話:ロンドンからの手紙

■放送日:1987年10月16日 / 演出:早川啓二 / 作画監督:山内昇寿朗

■Story■
パリでの仕官先を探すことにしたダルタニャン。祖父からの言いつけに基づき、トレビル隊長の銃士隊かリシュリュー枢機卿の護衛隊に入ろうとする。
まずは護衛隊に入るべくリシュリューの館を訪れ、そこでミレディーと再会。護衛隊への入隊を条件に、ある仕事を手伝うよう誘われる。ダルタニャンには「ロシュフォール伯爵に協力して謀反人を捕らえる」とだけ伝えられたその仕事とは、アンヌ王妃の侍女・コンスタンスを捕らえること。そして彼女が持つ王妃のバッキンガム公爵宛の手紙を奪うことだった。


女性を捕らえることを不審がるダルタニャン。さらにコンスタンスが捕らわれる現場を目撃したジャンは、彼女が生き別れの母親だと思い、ダルタニャンに助けを求める。ダルタニャンとジャンは、コンスタンスが捕らわれている小屋に乗り込む。彼女はジャンの母親ではなかったが、先日ダルタニャンが一目惚れした美少女だった。憤るダルタニャンはロシュフォールを倒し、コンスタンスを逃がしてしまう。


その場はミレディーの取り成しで治まり、翌日、ダルタニャンはルーブル宮殿でリシュリューに謁見し、護衛隊への入隊を認められる。しかし、そこでコンスタンスが王妃の侍女だと知るや、護衛隊への入隊を辞退。銃士隊への入隊を決意する。


■Explanation■
リシュリュー、アンヌ王妃、国王ルイ13世といったルーブル宮殿の主要キャラクターが登場。宮殿での陰謀が描かれ始める。


コンスタンスを待ち伏せるシーンで、三銃士もワンシーンだけ登場。三人が並んで、夜道に靴音を響かせながら歩く。緊迫感溢れるBGMと相まって、セリフも無いのにインパクトは大。そりゃロシュフォールもビビって隠れるって。次回からの本格的な活躍を前に、絶好の前振り。


今回のメインは「主人公がさらわれたヒロインを救い出す」というお約束話。知らないうちにリシュリューの悪事に加担していたダルタニャンが、颯爽と現れてコンスタンスを救い出す。さらに、悪びれることなくリシュリューに忠誠を誓ったかと思いきや、コンスタンスが王妃の侍女だと知るや、あっさりと銃士志願へ乗り換えてしまう。これは視聴者視点で「リシュリュー側=敵」を知ってても、ダルタニャンの行動は調子が良すぎ。
まぁ、これも序盤のコミカルな雰囲気の成せる展開という事で良しとしよう。


■Dialogue/Monologue■

ナレーション「フランス第一の実力者、総理大臣リシュリューは、その力を盾に自分勝手な政治を行い、どちらが国王か分からぬ有様でした」
リシュリュー「ワシに反発する王妃さえいなければ、このフランスはもっと強く、大きくなれるのだ」

今回が初登場のリシュリュー閣下。ナレーションで有無を言わさず「悪い大臣」と紹介されています。
本人のセリフからは一応、フランスを強国にするためという彼なりの主張が表れているんだけど。

アンヌ王妃「私と陛下は神の御前で永遠の愛を誓い合ったのですよ」

バッキンガム公爵からのアプローチに対する、王妃の本音。
これを公爵が理解していれば、諸々の厄介事は起こらずに済んだんだけど。

ロシュフォール「あれは銃士隊の三銃士だ。見られたら面倒だ。隠れてろ。」

どう聞いても、悪事を働いている悪役のセリフです。ダルタニャンが「何で隠れなきゃいけないんだ」と不審がるのも当然。

ダルタニャン「俺がリシュリュー様の部下になったら、いつでも力を貸してあげるよ。心配するな」

一見すると良いセリフですが、これをロシュフォールを叩きのめしてコンスタンスを逃がした後に言ってます。そりゃロシュフォールも怒るって。

ミレディー「味方にすれば役に立ち、敵に回せば、ちょっと厄介な男です」

ミレディーによるダルタニャンの評価。これは皮肉にも、後にダルタニャンを敵に回して陰謀を尽く阻止されたことで証明されてしまう。

ダルタニャン「いえ、もう結構です。護衛隊に入るのはお断りします。たった今、国王の護衛隊に入ることにしました」

リシュリューに謁見し、忠誠を誓ったと思いきや、舌の根の乾かぬうちに宗旨変え。いくら何でも調子良すぎるなぁ。


■Next Episode ~次回予告~■

ジャン「オイラ、はだしのジャン。
次回はいよいよ銃士隊のスター、三銃士が登場するよ。
銃士っていうのはね、王様を護る親衛隊の隊員なんだ。
王様が銃士隊を作ったんで、総理大臣のリシュリューも負けるもんかと自分専用の護衛隊を作ったんだ。
だからこの二つは凄ぉーく仲が悪くって、会えばすぐケンカになっちゃうんだ。
ま、そんなワケ。ジャーン!」

予告は今回もジャンが担当。タイトルにもなっている三銃士を「スター」とはアイドル扱いしたり、銃士隊と護衛隊の争いを「ケンカ」と言い表しているのは、何とも現代的で子供らしい。
なお今回も映像はパイロット版より使用。ダルタニャンと三銃士が酒場で談笑したり、ダルタニャンがロシナンテに跨って疾走したり、いかにも『三銃士』な内容だ。


■Mousquetaires Journey ~三銃士紀行~■
ルーブル美術館と、その展示物の目玉であるミロのビーナス像を紹介。
かつての王の執務室や寝室、そして王妃の部屋など、アニメ劇中でも描かれた場所も説明している。
また「王の部屋に通じるVIP専用の秘密の階段があった」とのこと。これは12話でバッキンガム公爵がアンヌ王妃の部屋へ行く時に使った通路の元ネタだろうか。
最後はミロのビーナス像の発掘地であるメロス島ギリシャ)を紹介。羊の群れが闊歩する、何とものどかな雰囲気だ。


(記:2012年7月10日/追記:2020年03月07日)