アニメ三銃士

Column34 語ろう!『アニメ三銃士』(スタッフルーム通信編1 -監督 湯山邦彦-)

「30周年に寄せて」を挟んで、再び『別冊アニメディア アニメ三銃士 PART1』からの証言特集。今回からはメインスタッフ陣のインタビュー記事を紹介します。

インタビュー記事の見出しは、以下になっています。

スタッフルーム通信
希望・公開ゴチャマゼ!あのキャラのココが好き!
アニメ三銃士』のメインスタッフが今明かす、制作上の裏話。そして、一視聴者になりきって、このキャラが好き!という告白つき!!

何ともユーモラスなフリですが、シリーズ前半を振りかえっての感想や反省、後半への意気込み、そして何より好きなキャラという個人的な趣味趣向(?)まで語られる興味深いインタビューです。


初回は監督を務める湯山邦彦さんのインタビューを紹介します。

●監督 湯山邦彦


この『アニメ三銃士』は、まず、子供が見ても分かるようにした上で、原作のもつ冒険もののおもしろさを出したかったというのがありますね。
ダルタニャンのヒーロー物語ではあるんですけれど、もう少し群像ドラマ的に、キャラクター一人一人が立ってくるような作りにしたいと思っています。
僕の好きな話は、17話の「一人はみんなのために」ですね。アクションもそこそこ入ってるし、最後に池っぷちで四人が魚を食っているところなんか、三銃士の友情が自然な形で出たかなって感じなので。アレは見終わって、後味が良かったですね。
好きなキャラっていうとロシナンテ!あのキャラは初めはあんなに活躍するわけじゃなくて、企画段階で膨らんだキャラなので愛着があるんですよ。
あと、今思うとダイヤモンドの話のところは、少し話数を使い過ぎたという思いはあります。少し間延びしてしまったような気がするので、縮めて、その分を後半で使いたかったですね。


PROFILE
昭和27年10月15日東京都生まれ。代表作に『戦国魔陣ゴーショーグン』、『魔法のプリンセス ミンキーモモ』、『幻夢戦記レダ』。演出のデビュー作は『銀河鉄道999

「群像ドラマにしたい」と語る湯山監督。シリーズ後半となる「鉄仮面編」では、アラミスの秘密を軸にしつつもアトスやポルトスやロシュフォール(!)の活躍が描かれたのだから、監督の目指した「キャラクター一人一人が立った話」は狙い通りだ。


好きな話として、作品のキャッチコピーである「一人はみんなのために」がサブタイトルとなった17話を挙げるのも、監督ならではの拘り。この回はダルタニャンとアラミスが絶体絶命の危機を切り抜け、最後はアトスとポルトスを加えた4人で束の間の安らぎが描かれる、スリルから和んだ雰囲気まで楽しめる名エピソードだ。
ロシナンテが好きな理由が「企画段階で膨らんだキャラ」なのも納得。動物キャラが大活躍する本作独自の特徴なので、監督としてはこちらも狙い通りなんだろうな。


一方、シリーズ前半の反省として「ダイヤモンドの話」こと首飾り編で話数を使い過ぎたというのは意外。首飾り編はちょうど2クール(14〜26話)で区切りが良かったので、話数的にも過不足無しだと思うけど。ひょっとしたらミレディー処刑までをシリーズ前半で描く予定だったのかも。あるいは「鉄仮面編」で、もっと描きたかったエピソードがあったのかも。


もしも『アニメ三銃士』に続編があったら。そして、その続編で再び湯山監督が続投していたら、一体どんな物語が描かれていたのか。そんなことを夢想したくなるコメントです。


湯山監督はPROFILEにもあるように『戦国魔神ゴーショーグン』(1981年放送)では演出を、『魔法のプリンセス ミンキーモモ』では、1982年放送の第1作に続き1991年放送の第2作でも監督を務めました。そして90年代からは大ヒットとなった『ポケットモンスター』シリーズで総監督の大役を務め、今なおアニメ界の第一線で活躍しています。