アニメ三銃士

19話:港のすれちがい

■放送日:1988年3月25日 / 演出:水谷貴哉 / 作画監督:進藤満尾

■Story■
カレーの港で足止めを食っていたダルタニャンは、不審人物として総督府の役人に追われる身となる。
続いてコンスタンスとジャンもカレーに到着。三銃士に渡航許可証を渡すべく、街の宿屋に滞在する。


偶然にも宿屋の隣室にはダルタニャンが泊まっていたが、全く互いに気づかない。ジャンが偶然ダルタニャンの姿を見ても、ニセ葬式のおかげで幽霊だと大騒ぎしてしまう。


その頃、別の道を進んでいた三銃士は、追っ手の撃退を図る。付近の村人の協力を得て、ロシュフォールを捕らえ風車に縛り付けてしまう。


翌日、カレーにやって来たミレディーが、渡航許可証を使いロンドン行きの船に乗る。それを目撃したコンスタンスは三銃士を待たずに、自らロンドンへ向かうことを決意する。
そしてロンドン行きの船に乗り込んだコンスタンスとジャンだったが、出港直前に船内で水夫に化けたダルタニャンと再会する。


渡航許可証を受け取ったダルタニャンは、コンスタンスにキスをもらい、駆けつけた三銃士にも見送られてロンドンへと旅立った。


■Explanation■
今回はコンスタンスをメインにした、シリーズ屈指のラブコメ話。
カレーの港で三銃士を待つコンスタンスとジャン。夜空を憂い顔で見つめ、亡きダルタニャンに想いを馳せるコンスタンス。でも、そのダルタニャンは同じカレーの同じ宿の、しかもすぐ隣の部屋に泊まっていたのだ。
それでもお互いに気づかない「すれ違い」は、ラブコメの定番シチュエーションだ。


さらに、役人の宿改めに応対する時の、寝巻きにシーツを羽織ったコンスタンスの姿は妙に色っぽい。そりゃ役人もドキドキするよな。
ガードが固いコンスタンスが見せる、唯一無二のセクシーシーンなので要チェックだぞ(笑)。


一方、窓伝いに宿を逃げようとするダルタニャンの姿を見て、幽霊だと大騒ぎしてしまうジャンは笑える。
でも仕方ないか、ダルタニャンが生きてるなんて思っても無かったから。


そして、ラブコメの締めくくりは感動の再会。
ロンドンに渡る決心をして船に乗り込んだコンスタンスとジャン。そこでバレバレの変装したダルタニャンと遭遇。驚きから一転、ダルタニャンにキスして送り出す。
ダルタニャンの文字通り命を懸けたアプローチに、コンスタンスが応えた瞬間だった。


晴れてコンスタンスと両想いになり、三銃士にも見送られ、ロンドンに向かうダルタニャンにとっては最高の船出となった。


■Dialogue/Monologue■

コンスタンス「幽霊でもいいわ、ダルタニャン、姿を現して…」

夜空を見上げているのは、星になったダルタニャンを想っているのだろうか。
ちなみにこの後、ご要望にお応えしてダルタニャンが姿を現します。もっとも、ジャンが幽霊だと勘違いして大騒ぎしちゃうけど。

ダルタニャン「ムフフ、まだ温かいや」

コンスタンスから渡された渡航許可証の臭いを嗅いでの言葉。胸元に入れて大事に持っていただけに、臭いも温もりもバッチリの模様。
きっとダルタニャンは船の中で、この渡航許可証の臭いを嗅いではあんなコトやこんなコトを(←やってねぇよ)

ダルタニャン「大丈夫さ、一度死んだからには二度と死なないさ」

一度死んだというか、三銃士に勝手に殺されたというか。
ともあれ、ダルタニャンらしい威勢の良い言葉。


■Next Episode ~次回予告~■

コンスタンス「ダルタニャン、イギリスにはミレディーが先に行ってるわ。気をつけてね」
ダルタニャン「ああ、任せとけってコンスタンス」
ジャン「寄り道なんかしないで、真っ直ぐロンドンのバッキンガム公爵の所へ行くんだぜ」
ダルタニャン「わかってるよ!ジャン」
コンスタンス「ミレディーにバッキンガム公爵、ああ、悪い予感がするわ」
ジャン「あの二人が揃うと、ロクな事がないんだよなぁ」
ダルタニャン「心配すんなって!」
コンスタンス・ジャン「うぅ~~ん」
コンスタンス「次回『アニメ三銃士』」
ジャン「《ダルタニャン海を渡る》」
ダルタニャン「みんな、今度はイギリスでまた会おう!」

港で再会したダルタニャンとコンスタンス・ジャンによる会話形式の予告。まるで本編のワンシーンのようだ。
コンスタンスやジャンから「気をつけて」とか「寄り道しないで」と言われて、ダルタニャンが「わかってるよ!」「心配すんなって!」と半ギレ気味に答える。その会話がお使いを頼まれた子供みたいで微笑ましい。
そして今回はコンスタンスからも「悪い予感がする」と、公爵がトラブルメーカー扱いされるのはお約束。


■Mousquetaires Journey ~三銃士紀行~■
パリ・モンマルトルの丘を紹介。
丘に建つサクレクール寺院は、今でこそパリに欠かせない寺院として定着しているが、かつては美観を損ねるとして反対も多かったという意外な話も。
また昔の名残を留める風車として1612に作られた「ギャレットの風車」と1717年に作られた「ラデの風車」を紹介。『アニメ三銃士』の頃にはパリの街を囲む城壁の外で多くの風車が回っていたという。劇中で風車といえば決闘の待ち合わせ場所やジャンを焼き殺すためなど物騒な役目ばかりだったえど、本来の役目は粉挽きや葡萄絞りだった。


(記:2012年9月11日/追記:2020年04月10日)