アニメ三銃士

Column08 集え!同期アニメたち(1987年編)

アニメ三銃士』の全話紹介を終えて一段落している今日この頃。
今後はコラムの更新を中心に運営して行く予定です。

その先駆けとして、今回と次回は『アニメ三銃士』と同時期に放送され人気を博したアニメ作品……言わば「同期アニメたち」を独断と偏見と個人的な思い出を込めて紹介します。
まず今回は1987年に放送されていた作品を紹介。


■『機甲戦記ドラグナー』(放送:1987年2月〜1988年1月)
EMOTION the Best 機甲戦記ドラグナー DVD-BOX

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  • 発売日: 2010/01/27
  • メディア: DVD
機動戦士ガンダム』に端を発した80年代リアルロボットの集大成にして『ガンダム』のリメイク作品。「第2のガンダム」に寄せるアニメ界の期待は大きかったらしく、当時のアニメ情報誌では頻繁に表紙を飾ったり特集が組まれていた。
作風は至ってスタンダード。西暦2087年(放送当時からちょうど100年後)を舞台に、月の軍事国家「ギガノス帝国」と地球の戦争に巻き込まれた3人の若者ケーン・タップ・ライトによる、メタルアーマー「ドラグナー」での戦いを描く本格戦記アニメ。途中からやや路線変更して、後に『魔神英雄伝ワタル』などを手がける芦田豊雄氏による個性的な敵キャラが続出したり、ケーンたちのコミカルな描写が目立ったり。図らずも80年代のリアルロボットから90年代のキッズ向けロボット(『ワタル』や勇者シリーズエルドランシリーズ)への変遷が垣間見える作品。
期待された「第2のガンダム」にはなれなかったけど、00年代にはゲーム『スーパーロボット大戦』に参戦したことから再注目されて、2度のDVD-BOX化も実現。


■『赤い光弾ジリオン』(放送:1987年4月〜12月)
赤い光弾ジリオン Blu-ray BOX

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  • 発売日: 2015/09/25
  • メディア: Blu-ray
赤い光弾ジリオンDVD-BOX(1)

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  • 発売日: 2003/12/05
  • メディア: DVD
赤い光弾ジリオンDVD-BOX(2)

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  • 発売日: 2004/03/05
  • メディア: DVD
当事ヒットしていたセガの光線銃玩具「ジリオン」のタイアップ作品で、タツノコプロ製作のSFアクションアニメ。未来の移民星を舞台に、異星人ノーザの侵略に立ち向かう特殊チーム「ホワイトナッツ」の3人組、JJ・チャンプ・アップルの活躍を描く。一見するとシリアスな設定だけど、そこはタツノコ作品らしくコメディタッチで描かれている。その雰囲気は上記の『ドラグナー』と合わせて、いかにも「80年代アニメ」らしい。
なお、実製作を手掛けたのはプロダクションI.Gの前身となるタツノコ制作分室。スタッフ陣もキャラデザインが後藤隆幸氏に演出の押井守氏と、後にI.G作品を手がける面々が参加している。
放送中にはスターチャイルドからドラマCDもリリースされ、放送終了後にはスターシステム的にキャラクターを流用したOAVもリリース。この辺も90年代以降に通じるメディアミックスの先駆けとも言える。


■『聖闘士星矢』(放送:1986年10月〜1989年4月)
聖闘士星矢 Blu-ray BOX I

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  • 発売日: 2014/06/20
  • メディア: Blu-ray
聖闘士星矢 Blu-ray BOX II

聖闘士星矢 Blu-ray BOX II

  • 発売日: 2014/09/24
  • メディア: Blu-ray
聖闘士星矢 THE MOVIE Blu-ray VOL.1

聖闘士星矢 THE MOVIE Blu-ray VOL.1

  • 発売日: 2014/05/09
  • メディア: Blu-ray
聖闘士星矢 THE MOVIE Blu-ray VOL.2<完>

聖闘士星矢 THE MOVIE Blu-ray VOL.2<完>

  • 発売日: 2014/05/09
  • メディア: Blu-ray
週刊少年ジャンプ」にて連載されていた車田正美の同名漫画のアニメ化。
今でも多くの派生作品が作られているだけあって、放送当時の人気は圧倒的。男子はフィギュア玩具『聖闘士聖衣大系』を買い、女子(特に大きなお姉さんたち)は次々登場する美形キャラに熱狂していた。
アニメ三銃士』が始まった頃は「黄金聖闘士編」が放送されて人気を不動の物とした時期。その後も北欧神話を題材にしたアニメオリジナルの「アスガルド編」を経て「ポセイドン編」で惜しまれつつ終了。
終了後は復活を望む声がありつつも長年沈黙を保つが、2002年の『ハーデス編』OAV化を切っ掛けに、堰を切ったように様々なメディアミックスが行われたのはご存知のとおり。


■『シティハンター』(放送:1987年4月〜1989年6月)
CITY HUNTER COMPLETE DVD-BOX (完全限定生産)

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  • 発売日: 2005/12/21
  • メディア: DVD
こちらも「週刊少年ジャンプ」に連載されていた、北条司の同名漫画のアニメ化。アニメ業界的には『ガンダム』シリーズなどのオリジナル作品を専門にしてきたサンライズ(当時の社名は「日本サンライズ」)が手掛ける、初の原作付き作品としても話題になった。なお放送2年目からはタイトルを『〜2』に改め、その後も『〜3』『〜'91』と計4シリーズが製作された。
当時も今も都会の代名詞である新宿を舞台に、「掃除屋(スイーパー)」の冴羽リョウと相棒の香のコンビ「シティハンター」が、美女からの依頼を受けて現代に巣食う悪と戦う。大人で都会的な雰囲気に、美女とアクション。さらにはTMネットワークの名曲『GET WILD』をはじめとした人気アーティストによる主題歌。当時子供だった僕にとっては「大人のヒーローを描いた大人のアニメ」だったっけ。
ちなみに主人公リョウを演じたのは『アニメ三銃士』のアトス役でもお馴染み神谷明さん。その神谷さんにとってもリョウは「最も好きなキャラ」と公言して、自身の事務所に「冴羽商事」(リョウが表向きに名乗る社名)と命名する程に思い入れがあるのはご存知のとおり。


■『きまぐれオレンジロード』(放送:1987年4月〜1988年3月)
こちらも「週刊少年ジャンプ」にて連載されていた、まつもと泉先生の同名漫画のアニメ化。
優柔不断な中学生・恭介、不良のまどか、後輩のひかるの三角関係を軸にしたラブコメで、特にメインヒロインのまどかに人気が集中。高田明美さんのキャラクターデザインも相まって、主役の恭介を差し置いてアニメ情報誌の記事や各種グッズのビジュアルを飾っていたっけ。
一方、主人公の恭介も、演じた古谷徹さんが「いかにも普通の少年で、自分が演じた中で最も好きなキャラ」と公言する程。


■『ついでにとんちんかん』(放送:1987年10月〜1988年10月)
ついでにとんちんかん DVD-BOX 1

ついでにとんちんかん DVD-BOX 1

  • 発売日: 2008/06/18
  • メディア: DVD
ついでにとんちんかん BOX2 [DVD]

ついでにとんちんかん BOX2 [DVD]

  • 発売日: 2008/06/18
  • メディア: DVD
またもや「週刊少年ジャンプ」に連載されていた、えんどコイチ先生の同名漫画のアニメ化。
昼間は高校生&高校教師、夜は様々なお宝を狙う「怪盗とんちんかん」の活躍を描いた作品……という説明が空しくなるような、ナンセンスギャグの応酬。
いきなり尻見せ!」「いきなり前見せ!」「このカレーは辛(かれ)ぇ!」などなど、もはや「アホ」以外に表現の言葉が無い怪作。作品の大半の要素は主人公・間(あいだ)抜作に集約されているので、まぁご覧になってくださいな(←説明を放棄)
なお、前番組の『ハイスクール奇面組』と同様、主題歌やED曲を「おニャン子クラブ」出身の「うしろ髪ひかれ隊」(工藤静香さんや生稲晃子さんがメンバー)が歌っているのもポイント。


■『ミスター味っ子』(放送:1987年10月〜1989年9月)
週刊少年マガジン」に連載されていた、寺沢大介先生の同名漫画のアニメ化。こちらも上記の『シティハンター』同様にサンライズが手掛けた原作モノとして話題に。
料理漫画というアニメで前例の無い題材を、見事に「料理」したのが後に『ジャイアントロボ』や『機動武闘伝Gガンダム』で名を馳せる今川泰宏監督。料理を食べた人(主に味皇)が美味しさのあまり、絶叫したり巨大化したり目や口から光線を発射したり大阪城を破壊したりというド派手な演出が連発。それらは後続の料理アニメに受け継がれている辺り、今なお消えぬ影響力の強さが伺える。言わば「料理アニメ」のスタンダードを築いた記念碑的作品。


■『破邪大星ダンガイオー』(発売:1987年9月〜1989年7月)
EMOTION the Best 破邪大星ダンガイオー [DVD]

EMOTION the Best 破邪大星ダンガイオー [DVD]

  • 発売日: 2010/09/24
  • メディア: DVD
リアル系ロボット全盛だった当時のテレビアニメに対抗するように、70年代ロボットアニメの影響を受けたクリエイター陣が「作りたい作品を自由に作れる場所」であるOAVで製作したロボットアニメ。全3話(物語は連続ではなく1話完結型)が3年に渡ってリリース。
その内容も「水木一郎堀江美都子が主題歌を熱唱する」「神谷明演じる主人公が必殺技を絶叫」「巨大ロボが変形合体して、圧倒的なパワーで敵を叩きのめす」というスーパーロボットへのオマージュが溢れている。
その後も2001年には続編『破邪巨星Gダンガイオー』が製作されたり、ゲーム『スーパーロボット大戦』に参戦したり、時代を超えて「スーパーロボット」の典型となっている。


■『仮面ライダーBLACK』(放送:1987年10月〜1988年10月)
最後は特撮作品からの紹介。仮面ライダーとしては1980年放送の『スーパー1』以来となるテレビシリーズ作品で、当時は「仮面ライダーの原点回帰」とか「新たなる仮面ライダー」と宣伝されていた。
「悪の組織ゴルゴムに改造されて、同様に改造された親友と戦う」「共に戦う仲間も殆どおらず、孤独な戦いを強いられる」というシリアスなストーリー。マグロ盗難事件に対しても何故か「ゴルゴムの仕業だ!」と勘付くギャグと紙一重なシーンの数々。そしてこれがデビュー作となり、続編の『RX』も含めて2年に渡りライダーを演じることになった「イケメンライダーの元祖」こと倉田てつをさんの演技等々、今なお特撮ファンに語り継がれている名作。


……と、1987年のアニメ事情を僕の独断と偏見と主観的体験談を交えて書いてみました。
『ヤマト』や『ガンダム』による70〜80年代のアニメブームがひと段落して、オリジナル作品(主にSF物やロボット物)が激減。それを受けて漫画原作の、特に「少年ジャンプ」連載の漫画が続々とアニメ化されて大ヒットしていました。
このままアニメ界は原作物で占有されてしまうのか。オリジナル作品はもう絶えてしまうのか。……その答えは、次回の「1988年編」にて書く予定です。


(一部修正:2020年08月12日)